没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~
オデットの手から紙袋ごとシュークリームを奪ったロイは、むしゃむしゃと三つとも平らげた。
「すげーうまい。ルネのシュークリームなんか目じゃないな。リリア、また今度作って」
「う、うん!」
パッと花が咲いたような笑顔を見せるリリアと、照れくさくてどんな顔をすればいいのかわからずそっぽを向いているロイ。
ルネは必死に笑うのをこらえていて、ブルノは孫の頭にポンと手を置いた。
オデットはロイの精神的な成長を感じて嬉しくなり、その気持ちを共有しようとジェラールを見た。
けれどもジェラールだけはぼんやりと、窓の外に視線を留めている。
(殿下……?)
大丈夫だと言っていたが、本当はかなり疲れているようだ。
(帰って休んでくださいと言いたいけど、来たばかりなのにそれも大変よね……)
オデットはジェラールを心配しつつ自分の席にリリアを座らせ、紅茶のカップを取りに自室兼キッチンに入る。
花柄の可愛いカップを手に店内に戻ったら、ブルノが新聞の注目記事を皆に教えているところだった。
「聖女降臨と書いてあるぞ。へぇ、あちこちで病人や怪我人を治して回っているらしい。すごいな」
「すげーうまい。ルネのシュークリームなんか目じゃないな。リリア、また今度作って」
「う、うん!」
パッと花が咲いたような笑顔を見せるリリアと、照れくさくてどんな顔をすればいいのかわからずそっぽを向いているロイ。
ルネは必死に笑うのをこらえていて、ブルノは孫の頭にポンと手を置いた。
オデットはロイの精神的な成長を感じて嬉しくなり、その気持ちを共有しようとジェラールを見た。
けれどもジェラールだけはぼんやりと、窓の外に視線を留めている。
(殿下……?)
大丈夫だと言っていたが、本当はかなり疲れているようだ。
(帰って休んでくださいと言いたいけど、来たばかりなのにそれも大変よね……)
オデットはジェラールを心配しつつ自分の席にリリアを座らせ、紅茶のカップを取りに自室兼キッチンに入る。
花柄の可愛いカップを手に店内に戻ったら、ブルノが新聞の注目記事を皆に教えているところだった。
「聖女降臨と書いてあるぞ。へぇ、あちこちで病人や怪我人を治して回っているらしい。すごいな」