没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~
「もうルネったら。そういうお誘いじゃないわ。王太子殿下は私の鑑定力に興味がおありなだけよ」
むしゃむしゃとクッキーを頬張っていた食べ盛りのロイが、慌てたように紅茶で流し込んでから口を挟む。
「身分違いの恋はうまくいかないからやめた方がいいよ。オデットは将来、僕とおじいちゃんの店を――」
するとルネに新たな一枚を口に突っ込まれた。
「身分違いの恋? 結構じゃない。障壁が大きいほど恋は燃え上がるものよ。まぁロイには早すぎる話ね。大人の会話に割り込まないでクッキーを食べていなさい」
「子供扱いするな!」
ルネがからかい、ロイがむきになるのは見慣れた光景だ。
身分違いではないが没落貴族だから妃候補に名前があがるはずないと思い、オデットは窓の外を見た。
(いい天気ね。シーツを洗えばよかったわ。明日も晴れるかしら)
ポカポカの日差しに目を細めつつ、のんきに考えていたらドアベルが鳴った。
「私が行きます」
ブルノに言って立ち上がり対応に出る。
「いらっしゃいませ」
来店したのはひとりの青年でオデットより頭ひとつ分以上背が高く、やけに整った目鼻立ちをしている。
むしゃむしゃとクッキーを頬張っていた食べ盛りのロイが、慌てたように紅茶で流し込んでから口を挟む。
「身分違いの恋はうまくいかないからやめた方がいいよ。オデットは将来、僕とおじいちゃんの店を――」
するとルネに新たな一枚を口に突っ込まれた。
「身分違いの恋? 結構じゃない。障壁が大きいほど恋は燃え上がるものよ。まぁロイには早すぎる話ね。大人の会話に割り込まないでクッキーを食べていなさい」
「子供扱いするな!」
ルネがからかい、ロイがむきになるのは見慣れた光景だ。
身分違いではないが没落貴族だから妃候補に名前があがるはずないと思い、オデットは窓の外を見た。
(いい天気ね。シーツを洗えばよかったわ。明日も晴れるかしら)
ポカポカの日差しに目を細めつつ、のんきに考えていたらドアベルが鳴った。
「私が行きます」
ブルノに言って立ち上がり対応に出る。
「いらっしゃいませ」
来店したのはひとりの青年でオデットより頭ひとつ分以上背が高く、やけに整った目鼻立ちをしている。