没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~
天井から手元に向けて管が一本伸びている。
ガス管でも給水管でもないそれは、先端の蓋を開けるとライトのように光が差し込んだ。
「へぇ」
ジェラールが物珍しげに見ている。
「鏡で集めた外光を管に通しているんです。ランプの明かりだとカラーやクラリティを判断できないので。この世界では自然光が適しているんですよ」
前世のような鑑定用の特殊ライトがないのでそう言ったのだが、ジェラールに引っ掛かりを与えてしまう。
「この世界?」
「あっ、こっちの話なので気にしないでください」
ダイヤモンドに夢中なオデットはサラリと流し、鑑定に必要な道具を並べて白い綿手袋を装着した。
パステルカラーのような淡くぼんやりした普段の雰囲気がたちまち引きしまり、別人のようにしっかりとした顔つきになる。
ダイヤモンドはカラット、カラー、カット、クラリティの四項目で価値を見極める。
ラウンドブリリアントカットのダイヤモンドを特殊ニッパーで石留めから外して重さを測ると、五カラットちょうどであった。
一カラットは二百ミリグラムで、この石はかなり大きい部類に入る。
ガス管でも給水管でもないそれは、先端の蓋を開けるとライトのように光が差し込んだ。
「へぇ」
ジェラールが物珍しげに見ている。
「鏡で集めた外光を管に通しているんです。ランプの明かりだとカラーやクラリティを判断できないので。この世界では自然光が適しているんですよ」
前世のような鑑定用の特殊ライトがないのでそう言ったのだが、ジェラールに引っ掛かりを与えてしまう。
「この世界?」
「あっ、こっちの話なので気にしないでください」
ダイヤモンドに夢中なオデットはサラリと流し、鑑定に必要な道具を並べて白い綿手袋を装着した。
パステルカラーのような淡くぼんやりした普段の雰囲気がたちまち引きしまり、別人のようにしっかりとした顔つきになる。
ダイヤモンドはカラット、カラー、カット、クラリティの四項目で価値を見極める。
ラウンドブリリアントカットのダイヤモンドを特殊ニッパーで石留めから外して重さを測ると、五カラットちょうどであった。
一カラットは二百ミリグラムで、この石はかなり大きい部類に入る。