没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~
グスマン伯爵はアランを実子と認めて引き取り、シュルビアもこの館でアランと一緒に暮らすことを提案した。
オデットはホッとした。
これで離れ離れだった親子の道がひとつに戻され、高い身分を得たアランは初恋相手のお嬢様に告白できると思ったからだ。
喜びを分かち合いたくてジェラールを見たが、視線は合わない。
彼はそれでいいのかと問いたげに眉を寄せ、アランの反応を静かに窺っていた。
アランは少しも喜んでおらず、逡巡するように数秒黙ってから返事をする。
「僕はこれからもモンテス商会で働きます。両親に会えて嬉しいけど一緒に暮らしません」
「どうして?」
シュルビアがまだ涙の乾かぬ瞳にアランを映して問いかけた。
するとアランは立ち上がって誇らしげな顔をした。
「三日前に初めて給料をもらったんです。戦力になっているとお館様が言ってくれました。今後は他の従業員と同じ給料体系にして、仕事の出来次第で昇給もできると約束してくれたんです」
その報告にオデットも喜んだが、無給の奴隷状態から急に解放されたのはなぜだろうと不思議に思う。
(あ、もしかして殿下が?)
オデットはホッとした。
これで離れ離れだった親子の道がひとつに戻され、高い身分を得たアランは初恋相手のお嬢様に告白できると思ったからだ。
喜びを分かち合いたくてジェラールを見たが、視線は合わない。
彼はそれでいいのかと問いたげに眉を寄せ、アランの反応を静かに窺っていた。
アランは少しも喜んでおらず、逡巡するように数秒黙ってから返事をする。
「僕はこれからもモンテス商会で働きます。両親に会えて嬉しいけど一緒に暮らしません」
「どうして?」
シュルビアがまだ涙の乾かぬ瞳にアランを映して問いかけた。
するとアランは立ち上がって誇らしげな顔をした。
「三日前に初めて給料をもらったんです。戦力になっているとお館様が言ってくれました。今後は他の従業員と同じ給料体系にして、仕事の出来次第で昇給もできると約束してくれたんです」
その報告にオデットも喜んだが、無給の奴隷状態から急に解放されたのはなぜだろうと不思議に思う。
(あ、もしかして殿下が?)