没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~
「何色だろうと僕は僕。それなら伯爵家の紋章がついたルビーじゃなくて、自分の力でのし上がってサファイアとして輝きたいんです。僕は今の環境で働いて学び、いつか独立します。モンテス商会より大きな貿易商社を築きたい。恋した人に選んでもらえるような立派な男になってみせます」
オデットは思わず拍手を送った。
「アラン……」
シュルビアは雨上がりの太陽を見ているように、眩しそうに息子を見上げる。
「お母さん、たまに会って話をしよう。手紙は毎週書くよ。僕はそれだけで十分幸せなんだけど駄目かな」
「私も十分よ。あなたからお手紙が届くのを楽しみに、これまで通りブラウン子爵のお屋敷で働くわ」
母親に手を貸し立たせてあげたアランに、グスマン伯爵夫妻が感心したような目を向けている。
満足げな笑みを浮かべたジェラールは、アランに歩み寄ると懐からシルクのハンカチを取り出した。
それにはあの銀のスプーンが包まれている。
「これを君に返そう」
「えっ」
代金をもらっているので売買は成立しているのにとアランは言いたげだ。
オデットは思わず拍手を送った。
「アラン……」
シュルビアは雨上がりの太陽を見ているように、眩しそうに息子を見上げる。
「お母さん、たまに会って話をしよう。手紙は毎週書くよ。僕はそれだけで十分幸せなんだけど駄目かな」
「私も十分よ。あなたからお手紙が届くのを楽しみに、これまで通りブラウン子爵のお屋敷で働くわ」
母親に手を貸し立たせてあげたアランに、グスマン伯爵夫妻が感心したような目を向けている。
満足げな笑みを浮かべたジェラールは、アランに歩み寄ると懐からシルクのハンカチを取り出した。
それにはあの銀のスプーンが包まれている。
「これを君に返そう」
「えっ」
代金をもらっているので売買は成立しているのにとアランは言いたげだ。