さよなら、愛してる〈不知火の姫 外伝〉
弘人が気を利かせたのか、他のメンバーを促して撤収を始めた。
「――後の事は適当にやっとく。お前は藍乃ちゃん送ってやれ」
弘人の言葉に片手を上げて答えた。
それで少し力が緩んだからか、腕の中の藍乃がもぞりと動く。
「……良かったぁ」
顔を伏せたまま呟く、くぐもった声が聞こえた。
「私ね、亜賀座くんの事で凪に嫌われちゃったんだと思ってた」
「嫌ってねぇし」
「うん、だから、良かったなぁって」
ふいに顔を上げた藍乃と目が合った。大きな瞳。瞳の奥には小さい時の面影が残ってる。
誰もいなくなった倉庫内。しんと静まり、自分たちの心臓の音が聞こえてきそうだ。
「藍乃、俺は……」
だけどそこまで言った瞬間、ガクン体の力がと抜けたように藍乃が俺にもたれ掛かった。
「藍乃?」
顔を俺の胸に押し付ける様になっているが、呼びかけても返事がない。
「おい! 藍乃?!」
抱えている腕で揺すってみたが、それも反応が無い。
聞こえてきたのはハアハアという荒い呼吸音。そして、触れている体から感じる熱さ。
目を閉じて混沌としている藍乃のおでこに手をあてた。
――すごい熱だ。
「――後の事は適当にやっとく。お前は藍乃ちゃん送ってやれ」
弘人の言葉に片手を上げて答えた。
それで少し力が緩んだからか、腕の中の藍乃がもぞりと動く。
「……良かったぁ」
顔を伏せたまま呟く、くぐもった声が聞こえた。
「私ね、亜賀座くんの事で凪に嫌われちゃったんだと思ってた」
「嫌ってねぇし」
「うん、だから、良かったなぁって」
ふいに顔を上げた藍乃と目が合った。大きな瞳。瞳の奥には小さい時の面影が残ってる。
誰もいなくなった倉庫内。しんと静まり、自分たちの心臓の音が聞こえてきそうだ。
「藍乃、俺は……」
だけどそこまで言った瞬間、ガクン体の力がと抜けたように藍乃が俺にもたれ掛かった。
「藍乃?」
顔を俺の胸に押し付ける様になっているが、呼びかけても返事がない。
「おい! 藍乃?!」
抱えている腕で揺すってみたが、それも反応が無い。
聞こえてきたのはハアハアという荒い呼吸音。そして、触れている体から感じる熱さ。
目を閉じて混沌としている藍乃のおでこに手をあてた。
――すごい熱だ。