さよなら、愛してる〈不知火の姫 外伝〉
 拉致されて、この蒸し暑い倉庫に閉じ込められていたからか。それとも恐怖や精神的に追い詰められていたからか。

 それは俺には分からないが、そうとう無理をしていたのは確かだ。

 もっと早くに気が付いていれば……

 どうにもならない後悔をしながら、俺はポケットから携帯を取り出す。


 しばらくすると、遠くから救急車のサイレンの音が聞こえてきた。
















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