さよなら、愛してる〈不知火の姫 外伝〉
窓の外へ視線を向ける。ガラスの向こうの青い空を見上げると、夏の太陽がギラギラと輝いていた。
――また、夏がやって来た。
太陽に焼けたバイクシートの熱さ。湿気のこもった青臭い風の匂い、汗の煩わしさ。
そして……
もう、何年前になるだろう。
五年? 六年? 体感的にはもっとずっと昔の事のように感じる。
あの頃は俺も、志貴と同じ高校生だった。子供じゃないけど大人でも無くて。いきがっていて生意気で、怖いものなんて何も無かった。極端に言うと、世界は自分の為に回っている、それぐらいは思っていた。
だけど……
高校三年の夏。
この夏の暑さと同じくらい熱くて激しい感情。
そして、自分の力だけではどうにもならない事があるのを知ったんだ――
◇
――また、夏がやって来た。
太陽に焼けたバイクシートの熱さ。湿気のこもった青臭い風の匂い、汗の煩わしさ。
そして……
もう、何年前になるだろう。
五年? 六年? 体感的にはもっとずっと昔の事のように感じる。
あの頃は俺も、志貴と同じ高校生だった。子供じゃないけど大人でも無くて。いきがっていて生意気で、怖いものなんて何も無かった。極端に言うと、世界は自分の為に回っている、それぐらいは思っていた。
だけど……
高校三年の夏。
この夏の暑さと同じくらい熱くて激しい感情。
そして、自分の力だけではどうにもならない事があるのを知ったんだ――
◇