さよなら、愛してる〈不知火の姫 外伝〉
体が弱く心臓に持病のある藍乃は、月に何度か病院へ通っている。それは不知火のみんな知ってる事。
「護衛か……藍乃に嫌がられそうだな……」
「護衛には隠れてろって言っといた。気付かれてないはずだから大丈夫」
相変わらず弘人は抜け目がない。
俺は少し安心して、いつものクーラーボックスからバニラアイスを取り出して席に着いた。
「――で、仕事が山積み、って何なんだよ」
「これ、見てくれ」
弘人は俺の目の前にPCタブレットを置いた。いつもヤツの持っているそれには、俺にも計り知れない様々な情報が詰まっている。
画面には、この辺の地図が表示されていて、それに赤い点が付いているた。
「何だこれ」
「雲竜から襲撃された場所だ」
「え?!」
でもこれ、五個、六個とか、そんな数じゃない。十個……下手したら二十近くある。
「マジか……」
「まあ、中にはすれ違いざまに殴られた、とかつまんねーのもあるけど。でも俺たちがよく寄ってる店とかも荒らされ始めてて、ちょっとヤバいなと思ってる」
「ヤバいな、じゃねえよ! 何でもっと早く俺に言わねーんだ!」
「いやまあ、お前の補習終わるまでって少し様子を見てたって事もある。後は……」
弘人は言葉を濁すと視線をついと逸らし、風吹へそれを向けた。
珍しいな……いつもずけずけ物を言う弘人が言い淀むなんて。
「護衛か……藍乃に嫌がられそうだな……」
「護衛には隠れてろって言っといた。気付かれてないはずだから大丈夫」
相変わらず弘人は抜け目がない。
俺は少し安心して、いつものクーラーボックスからバニラアイスを取り出して席に着いた。
「――で、仕事が山積み、って何なんだよ」
「これ、見てくれ」
弘人は俺の目の前にPCタブレットを置いた。いつもヤツの持っているそれには、俺にも計り知れない様々な情報が詰まっている。
画面には、この辺の地図が表示されていて、それに赤い点が付いているた。
「何だこれ」
「雲竜から襲撃された場所だ」
「え?!」
でもこれ、五個、六個とか、そんな数じゃない。十個……下手したら二十近くある。
「マジか……」
「まあ、中にはすれ違いざまに殴られた、とかつまんねーのもあるけど。でも俺たちがよく寄ってる店とかも荒らされ始めてて、ちょっとヤバいなと思ってる」
「ヤバいな、じゃねえよ! 何でもっと早く俺に言わねーんだ!」
「いやまあ、お前の補習終わるまでって少し様子を見てたって事もある。後は……」
弘人は言葉を濁すと視線をついと逸らし、風吹へそれを向けた。
珍しいな……いつもずけずけ物を言う弘人が言い淀むなんて。