さよなら、愛してる〈不知火の姫 外伝〉


「はいは~い! じゃあ続きは俺が話しますね~」

 どうやら話の続きは風吹が引き継ぐようだ。

 風吹は内緒話をするように口に手をあてると、俺に向かって少し前かがみになった。


「実は俺と響生がこの前、見回りしながらうろうろしてたんですけど~、その時見ちゃったんです~!」

「何をだ?」

「ゲーセン近くのコンビニで、あの雲竜の亜賀座と藍乃さんが一緒にいるところ~!」


 ――雲竜の亜賀座と藍乃?!


 何だよ、それ。どうして藍乃があいつと一緒に……


「凪、お前藍乃ちゃんに亜賀座の事を何か探れとか命じたのか?」

「まさか! そんな事させるかよ!」


 俺が藍乃にそんな危ない事をさせるわけがない。

 弘人はそうだよな、と言いながらうんうんと頷く。


「でも、それじゃあ藍乃ちゃんが自分で会いに行った……もしくは、亜賀座が接触した、って事になる」

「いやでもちょっと待て! 護衛はどうしたんだ? その時一緒にいなかったのか?!」


 俺の問いには響生が答えた。


「その時の護衛に聞いたんですが、その日一度藍乃さんを見失ったらしいです。でも五分ぐらいで、すぐに見つかったって事ですが」


 見失ってたらダメだろ……

 でもそうすると、藍乃が亜賀座と接触する為に護衛から離れた可能性が高い。
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