さよなら、愛してる〈不知火の姫 外伝〉
もたもたと歩きやっと教室へ着いたが、そこには誰もいなかった。熱気を逃がそうと開け放たれた窓で、風がカーテンを揺らしているだけ。
時計を見ると、補習開始時間は既に十五分ほど過ぎている。
何だよ……呼んどいて先生が遅刻かよ……
ため息を吐きながら自分の机に鞄を置いたが、座る気にはなれなかった。そのまま全開にされている窓へ歩み寄る。
窓の縁へ手をかけると、さあっと温い風が吹いた。朝から煩い蝉の声、野球部か何かが練習をしているんだろう、そんな掛け声も聞こえる。見上げると、空は青くて太陽がギラギラ。すぐに暑さで汗が滲む。
……このままサボってしまおうか。
そんな考えがちらりと頭に浮かぶ。今日は朝から弘人が、不知火のたまり場にしている倉庫へ行くと言っていた。きっと集まった仲間でグダグダするんだろう。
俺も行きたい……
本来なら俺だってそこへ行き、弘人たちと面白おかしく夏休みを堪能しているはずだったんだ。それを選んで何が悪い! 何処が悪い! 俺様はあの不知火の総長なんだぞ!! 補習授業なんてやってられるか!
よし! サボろう! そう思った瞬間――
「――あれ? 凪?」
後ろから声が聞こえた。
時計を見ると、補習開始時間は既に十五分ほど過ぎている。
何だよ……呼んどいて先生が遅刻かよ……
ため息を吐きながら自分の机に鞄を置いたが、座る気にはなれなかった。そのまま全開にされている窓へ歩み寄る。
窓の縁へ手をかけると、さあっと温い風が吹いた。朝から煩い蝉の声、野球部か何かが練習をしているんだろう、そんな掛け声も聞こえる。見上げると、空は青くて太陽がギラギラ。すぐに暑さで汗が滲む。
……このままサボってしまおうか。
そんな考えがちらりと頭に浮かぶ。今日は朝から弘人が、不知火のたまり場にしている倉庫へ行くと言っていた。きっと集まった仲間でグダグダするんだろう。
俺も行きたい……
本来なら俺だってそこへ行き、弘人たちと面白おかしく夏休みを堪能しているはずだったんだ。それを選んで何が悪い! 何処が悪い! 俺様はあの不知火の総長なんだぞ!! 補習授業なんてやってられるか!
よし! サボろう! そう思った瞬間――
「――あれ? 凪?」
後ろから声が聞こえた。