ティアドール
伝説のフィギュア…レクイエムが、世界を破壊して、十五年。



初の量産機ブシは、日本全国に配置されていた。


誰がつくったかはっきりとしないフィギュアは、日本政府の特許になっていたはずだったが…いつのまにか世界中でフィギュアが、つくられていた。

しかし、フィギュアのコアだけは、日本で生産されていた。

これだけは、間違いではない。

ならば…誰が、他国に配っているのか…。 



「愛された人は、こう言ったそうです」

簡素な茶室で、抹茶をたてていた老人は、前に座る若者に、茶碗をそっと差し出した。

若者は、それをおもむろに受け取った。

そして、武骨にも、片手で飲んだ。

「軍人は、それでいい」

老人はその姿に、満足そうに頷いた後、言葉を続けた。

「日本人は、生ぬるい時代を過ごしすぎた。だから、戦いの試練を与えなければならない」

老人は、若者を見つめ、

「フィギュアは…人類、いや!日本人の宝…。しかし、試練の凶器でもある」

「…」

若者は何も話さない。 

「だが…そう決められた愛され人は、お亡くなりになられた。この事実が知らされているのは、政府の上層部と…」

老人はにやっと笑い、

「次の愛され人…候補者のみ…。君のような」

「……」

「武藤真也くん。君は、運がいい」


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