ティアドール
「何!?」

「ち、違います!その内、二機はこちらから外れます!」

「何だと!?」

「一機のみですが…早い!」

オペレーターは、その速度に驚きの声を上げた。





「敵空母は、お前達に任せる!」

キラーのユーテラスの中で、マホメットは2人の部下に命じた。

「大尉!すぐに済ませて、合流しますよ」

オバマの中で、ガイはにやりと笑った。

「敵空母から、二機のフィギュアが出ています」

「何?」

マホメットは眉を寄せた。

「そいつらは、俺がやる!お嬢ちゃんは空母をやれ!」
「いえ…」

ガイが機体を反転させる前に、一機のオバマが進路を変えた。

「私のAB型の方が、海上では合ってます」

同じ量産型でフィギュアは、少しだけ仕様が違うタイプがあった。

通常は、A型といわれ…さらに、B型O型AB型と、人間の血液と同じように区別されていた。

「リサ・ホーン…オバマAB型。行きます!」

いち速く動いたリサの機体を見て、マホメットはフッと笑った。

「ガイ。お前は、空母に向かえ」

「チッ。了解」

ガイの機体も、進路を変えた。

「フッ」

マホメットは軽く笑うと、前を見た。

「行くか」

すると、キラーはさらに速度を上げた。





「海…自由の海」

コウの思いに押されるように、アルテミスは砂浜を飛び越え、一気に海に飛び込んだ。

「なんちゅう〜フィギュアだ」

河村は走りながら振り返り、海に飛び込んだアルテミスを見た。

「人間みたいに、泳ぐだと!?」

そう…アルテミスは、まるで人間のようにクロールで泳ぎ出したのだ。

「だけど…それならば!」

河村は破壊されたフェンスを飛び越え、まだ惨状が残る基地内を走り抜ける。

そして、整備員が走り回る格納庫内に飛び込んだ。

「早くしろ!完璧でなくていい!」

整備員達の声が、格納庫内に響き渡っていた。

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