ティアドール
「まだ間に合う!」

河村は、一番ダメージの少なそうなブシを見つけると、そばにかけられている梯子に飛び付き、上り始めた。

すると、ユーテラスのそばに整備員がいた。

「いけますか?」

河村の問いに、整備員は答えた。

「先日の襲撃で、全面に数発被弾していますが、神経には届いていませんので、動かすことに支障はありません」

「了解です」

「一応、水上滑走用のソリをつけています」

「ありがとうございます」

河村は頷くと、ブシのユーテラス内に入った。

シンクロする為の液体が、体を包み、一体化した瞬間、ブシはを作動した。

「ご武運を!」

梯子から下りた整備員は、ブシから離れると、敬礼した。

「行くぞ」

ブシはビームマシンガンを掴み、格納庫から出ると、一気に背中のブースターを点火させた。

「しかし!」

フェンスを飛び越え、基地から飛び出すと、河村はブシを着地させた。

「このフィギュアでは、オリジナルを捕らえられない。ある程度のダメージを与え…援軍が来るまでの足止めをする!」

ブシはもう一度ブースターに点火すると、空中に飛び上がった。

そして、海上に出ると、クロールで泳ぐアルテミスの背中に向かって、ビームマシンガンの照準を向けた。

「貰った!」

引き金を引いた瞬間、海上に水飛沫が上がった。

「な!」

しかし、ビームはアルテミスに当たらなかった。

海上の向こうから、放たれたビームが、ブシに着弾したのだ。



「フッ」

マホメットは、ユーテラスの中で笑った。

「オリジナルフィギュア…」

キラーは、ステルス型の巨大戦闘機から離れると、海上に向かって落下した。

そして、ステルス型の巨大戦闘機はそのまま、ブシに向かってくる。

「チッ!」

河村は、ステルス型の巨大戦闘機にビームマシンガンを向けた。

「お前は、我が祖国が貰う!」

キラーは海の中に入ると、アルテミスの足を掴んだ。

そして、アルテミスを連れて、海の中を猛スピードで進みだした。
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