契約夫婦を解消したはずなのに、凄腕パイロットは私を捕らえて離さない
 そしてふたりで食事に行ったり連絡を取り合ったりする中で、新たな彼を知るたびに気持ちは大きくなっている。

「うん、誠吾さんのこと……好きだと思う」

 初めて自分の気持ちを認めると、真琴は目を丸くさせた。

「びっくりした。なに? ついに自覚したの? だったらなおさら早く告白しなよ。だって真田さんは再婚しようって言ってくれたんでしょ? 絶対に凪咲の気持ちを聞いたら喜ぶよ」

 真琴は次第に興奮していき、顔を近づけてきた。

「そうかもしれないけど、今はまだ無理だよ」

「どうして?」

 食い気味に聞いてきた彼女に、胸の内を明かす。

「本当に誠吾さんに好かれているっていう自信がないの」

「再婚しよう、家族になりたいって言ってくれたのに?」

 信じられないというように驚く真琴に言葉を続ける。

「だって再会して間もないんだよ? それなのに、いきなり再婚っておかしくない?」

「それだけ真田さんは凪咲のことを本気だってことじゃない」

 ことごとく否定する真琴。もちろん私のことを応援してくれているからこそだとわかってはいるけれど、やっぱり腑に落ちない。
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