契約夫婦を解消したはずなのに、凄腕パイロットは私を捕らえて離さない
「だけど篤も相手の気持ちに寄り添ってやらないとだめだぞ。お前が気づけていないだけで、相手は相手なりに大きな問題を抱えているのかもしれない」

 そう、昔の凪咲のようになにか理由があって、篤の気持ちを受け入れることができずにいるのかもしれない。

「そっか、その可能性もあるよね。……俺、自分のことでいっぱいいっぱいだった。やっぱり兄さんはすごいな。いつも簡単に俺の悩みを解決しちゃうんだから」

「解決したならよかった」

 ちょうど麺が茹で上がり、水を切ってすぐにスープに絡めていく。

「そろそろできるから手伝ってくれ」

「はーい」

 食器棚から篤に皿を出してもらい、盛り付ける。それをテーブルに運び、ふたりで手を合わせた。

「んー、やっぱり兄さんの作るスープパスタは絶品だよ」

「それはどうも。おかわりもあるぞ」

「絶対食べる」

 すごい勢いで食べ進めていく篤に、笑ってしまう。だけどおかわりをしてから急に篤の手は止まり、首を傾げた。
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