契約夫婦を解消したはずなのに、凄腕パイロットは私を捕らえて離さない
　外資系の企業も著しい成長を遂げている航空業界で、同じ会社に入社してくる可能性は低いと思っていた。

　なにより国内最大手ということもあって、凪咲なら受かると思うが競争率も高い。一緒に仕事をできる可能性は低いはず。
　そう思っていたのに、凪咲はうちの会社のCAとして現れた。

　最初は苗字も違っていたし、あまりに綺麗になっていたから別人だと思った。だけどどう見てもやっぱり俺の知っている凪咲で、これからはちょくちょく顔を合わせることができると思うと嬉しくなった。

　だが凪咲は俺に気づいていない様子で、痺れを切らした俺から声をかけたら、凪咲と離婚してから再婚したと誤解されていたことが発覚。

　凪咲以外の人を好きになったことなどないし、今後もあり得ないのに、架空の妻を愛していると思われていたのだ。

　だけどそれは社内で広まっている噂があったから仕方がない。もっと早く声をかけて誤解を解くべきだった。

　凪咲と再会してから気持ちは加速していくばかり。仕事に真摯に向き合っていると聞くと自分のことのように嬉しくなり、初めて食事に行った日は表情が硬かったが、少しずつ柔らかくなっていき、よく笑うようになってくれた。

　少しずつ心を開いてくれていると思うと、たまらない気持ちになってしまった。
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