契約夫婦を解消したはずなのに、凄腕パイロットは私を捕らえて離さない

そうしたら誠吾さんに父のことがバレてしまう。今の父を知ったら、彼はどんな気持ちになるか……。そう思うと怖くて誠吾さんに食事に誘われても、なにかと理由をつけて断っていた。

　本当は誠吾さんと食事に行きたいし、篤さんとも会いたい。電話だってしたいし、メッセージではもっといろいろな話をしたい。

　会ったり電話で声を聞いたりしたら泣く自信がある。だからつい社内でもできるだけ避けていた。

　でもそろそろ限界だよね。きっと誠吾さんは不審に思い始めているはず。だけど父が地方に帰ってしまえば、バレる可能性も低い。誠吾さんに余計な心配をかけさせないためにも、絶対に父のことに気づかれないようにしないと。

　当たり障りなく誠吾さんに【ありがとうございます。気をつけて帰ってきてください】と返信した。