契約夫婦を解消したはずなのに、凄腕パイロットは私を捕らえて離さない
 この二ヶ月間で、誠吾さんに会えたのはほんの数えるほどだけ。その大半が弁護士からの報告で終わっている。

 メッセージや電話でのやり取りは毎日しているし、空港で顔を合わせれば挨拶を交わす。今さっきも【そっちはおはようだよな? 気をつけて帰ってこいよ】ってメッセージが届いたばかり。それなのに……。

「会いたい、な」

 この二ヶ月間、いつもこう。ふとした瞬間にたまらなく誠吾さんに会いたくてたまらなくなる。

 父の一件以来、誠吾さんはすごく私を気遣ってくれた。彼の優しさに触れ、好きって気持ちは大きくなっている。

 真琴に話したら、『そんなに愛されて羨ましい。だけど真田さんが可哀想でもあるよ。電話でもメッセージでもいいから、早く気持ちを伝えてあげればいいのに』って言われてしまった。

 その通りなんだけど、でも誠吾さんはいつも会って直接想いを伝えてくれた。そんな彼には父の問題が解決してから、顔を見て好きって言いたいと思っている。
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