契約夫婦を解消したはずなのに、凄腕パイロットは私を捕らえて離さない
「この綺麗な海を、誠吾さんと見せたいな」

 会えないならせめて写真でもいいから同じ景色を共有したい。その思いで真琴に送った同じ写真を送った。

 するとすぐに既読が付き、【ありがとう】【いつか、ふたりで見に行こう】と返信がきて頬が緩む。

 そんな未来が訪れるためにも、早く想いを伝えよう。

 スマホを両手でギュッと握りしめながら海を眺めていると、急に隣に誰かが腰を下ろした。

「大抵みんな初めてプーケットに来ると、まずはここに来るの。やっぱりあなたもここに来たのね」

「えっ? 金城さん?」

 そう、突然現れて私の隣に座ったのは金城さんだった。

「後輩から最終便で鮎川さんがプーケットに向かったって聞いて、朝一の便で追いかけてきたの」

 どうして金城さんが私を追いかけてきたの?

あの父の一件以来、彼女からの嫌がらせはいっさいなくなった。乗務中は普通に話しかけてくるし、挨拶も返してくれる。
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