契約夫婦を解消したはずなのに、凄腕パイロットは私を捕らえて離さない
　それは館野キャプテンが動いてくれたことが関係していて、少しは反省してくれたのかもと思っていたけれど……。

　なぜ朝一の便で追ってまで私に会いに来たのか、その理由がわからないから身構えてしまう。すると金城さんはクスリと笑った。

「わざわざいじめるために追ってきたわけじゃないから、そんなに警戒しないで。ただ、あなたとふたりで話がしたかったの」

　そう言うと金城さんは私に向かって頭を下げた。

「え？　金城さん？　どうしたんですか、急に」

　いきなり頭を下げたものだから困惑する中、彼女は続けた。

「謝ったって許されることをしたとわかっている。それでも謝らせてほしいの。軽はずみにあなたの父親との仲を広めてごめんなさい」

　彼女の心からの謝罪に、どう答えたらいいのかわからず戸惑う。

「私ね、あなたの父親の話をすべて鵜呑みにしていたの。……父親の稼いだお金を使って何不自由なく暮らし、事業が失敗した途端に母親とふたりで出て言ったって聞いて、ひどいと思って……。実際は違ったのに、本当にごめんなさい」

「金城さん……」

　そっか、金城さんは父からそんな風に聞いていたんだ。

「実際は違ったって知ったのは、真田さんが教えてくれたからなの」

「どういうことですか？」

　急に誠吾さんの名前が出てドキッとなる中、金城さんはゆっくりと顔を上げ、眉尻を下げた。
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