契約夫婦を解消したはずなのに、凄腕パイロットは私を捕らえて離さない

「だけど！　私も当時の凪咲と出会っていたら真田さんと同じことを言っていた。どんなにつらい状況でも後悔することだけはしちゃだめだよって。……本当に真田さんと出会えてよかったね」

　目を潤ませて言う真琴に私まで泣きそうになる。

　学生時代にも友達はいたけど、真琴ほど心を許せて親身になってくれる存在は初めてだ。本当に真琴と出会えてよかったと心の底から思う。

「話を聞いて納得できたけどさ、あまりにも運命的すぎてそれにもびっくりしちゃった。凪咲だってもう会うことはないと思っていた人と再会して驚いたでしょ？」

「もちろんもう二度と会うことはないと思っていた人だったから目を疑ったよ」

「でしょうね。おまけに愛妻家って有名だと知ったら、さらに驚くよね。……でもさ、そこを気にしたってことは凪咲、ずっと真田さんのことが好きだったんじゃないの？」

　急にニヤニヤしながら聞いてきた真琴に、少しの間フリーズするもすぐに我に返る。

「なっ、なにを言って……っ！　さっきも言ったけど、誠吾さんとはただの契約結婚だったし、夫婦だった期間も一緒に暮らすこともなかったんだよ？　それに私、彼のことほとんど知らなかったし……それなのに好きとかあり得ないでしょ？」