契約夫婦を解消したはずなのに、凄腕パイロットは私を捕らえて離さない
「私でよかったらいつでも相談に乗るよ。これでも恋多き女だったんだから」

 自分の胸を叩いて自信満々に言う真琴に笑ってしまう。

「それは頼もしいな。じゃあなにかあったらお願いね」

「まかせて! 凪咲が真田さんと再婚できるようにサポートするからね」

「いや、まだ私は誠吾さんのことが好きってわけじゃ……」

「それも時間の問題でしょ! だけど本当にドラマや小説みたい。契約結婚もそうだし、その相手と再会するなんて……! 今後の展開が楽しみ」

 まるで視聴者や読者のような反応に乾いた笑い声が漏れる。

 正直、誠吾さんに対する想いの正体はまだわからないけど、でもこれからは事情を知っている真琴になんでも話せるんだ。そう思うと心強い。

 それからも真琴には誠吾さんとのことを根掘り葉掘り聞かれたけれど、心から私のことを応援してくれているのが伝わってきて、たまらなく嬉しい気持ちでいっぱいになった。


 三日後の昼休み、阿蘇くまもと空港のフードコート内で名物の辛子蓮根とあか牛丼を食べていると誠吾さんからメッセージが届いた。

 彼は今日出社スタンバイで勉強中とのこと。それで私の勤務が終わるまで勉強して待っているから、食事に行こうという内容のメッセージが私の了承も得ずに予約したというお店の情報とともに送られてきた。
< 69 / 236 >

この作品をシェア

pagetop