契約夫婦を解消したはずなのに、凄腕パイロットは私を捕らえて離さない

　とはいえ、今まで一緒に食事したところはどこも超一流の店で私のお給料で払えるか心配ではあるけど、だからといってずっと甘えてばかりはいられなよね。

　そもそも、どうして誠吾さんはこうも頻繁に私を食事に誘ってくれるのだろうか。

　そんなことを考えながら食べ進めていると、「話の続きだけど、今日なにがあったんだ？」聞かれた。

「あ、えっと……」

　我に返り、事の経緯を説明する。

「たったひとりのお客様にばかり目がいってしまったんです。だから決して私が活躍したわけではありません」

「そういうわけだったのか」

　最後まで口を挟まずに私の話を聞いてくれた誠吾さんは、そっと手にしていた箸を置いた。

「たしかに視野を広く持てなかったのも悪いな。チーフパーサーの話にも頷ける。……こんなことを言ったら無責任だって言われそうだけど、俺はCAそれぞれの立場で様々なサービスをしてもいいと思っている」

「え？　どういう意味ですか？」

　首を傾げる私に誠吾さんは自分の思いを話してくれた。