契約夫婦を解消したはずなのに、凄腕パイロットは私を捕らえて離さない
好きだから知られたくない
　目覚ましアラームで目を覚まし、すぐにアラーム音を消す。時刻は六時半過ぎ。ゆっくりとベッドから降りてカーテンを開けた。

「今日は曇りか」

　たしか夕方には雷雨になると昨日の天気予報でやっていた。欠航便が出て忙しくなるかもしれない。

　顔を洗って朝食の準備をしながらスマホをチェックすると、誠吾さんから数分前にメッセージが届いていた。

　再婚しないかとプロポーズされた日から早一ヶ月近く経つけれど、誠吾さんは毎日欠かさずに連絡をくれている。

　それはプロポーズされる前から続いていたことだけれど、あの日の彼の言葉を思い出すと、特別なことのように思えていた。

　そう思うのにも理由がある。覚悟しろと言っていた誠吾さんだけれど、社内で私と誠吾さんの噂を耳にした途端、「俺との噂のせいで、仕事に悪影響で出ていたらごめん。これからはできるだけ社内では声をかけないから」と謝罪してきた。

　言葉通り、その日を境に誠吾さんは社内ではいっさい声をかけてこなくなった。というよりも、できる限り顔を合わせないようにしているように見える。
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