君との恋の物語-mutual dependence-
卒業4
長きにわたる就職活動を終えた私のその後の学生生活は、サークル活動一色だった。

奇跡的に私達の代の主力3名がほぼ同時期就職を決めたので、そりゃもうあとは一生懸命やるしかない!

ということで、4年生になって授業数も少なくなっていることもあり、部室で過ごす時間が長くなった。

学生最後の一年とは言っても、まだ夏前だし、今からそんなに必死にならなくてもと思うかもしれないけれど、4年生は4年生で実は結構忙しいのだ。

なぜなら、卒業論文があるから。

夏休みに入る頃には研究テーマを決めて、着手するのが理想だと私は思っているので、そろそろ参考文献になりそうな本を探そうと思っている。

ちょっと変かもしれないけど、私のやりかたはだいたいこんな感じだ。

歴史上の人物の辞典を何冊も借りる

その中から、調べたい人物について詳しく載っているものから順番に参考文献を調べる。

参考文献になった本を読む。

辞典に載せるような情報の参考になるような本には、結構詳しい情報が載っていることが多いので、私は結構このやり方が気に入っている。

このやり方を思いついたのはサークル活動を通してのことだし、やっぱり私の学生生活の中心にはやっぱりサークル活動があるんだよなぁ。

ちょっと話が逸れたけど、こんな感じで、私達はサークル活動にラストスパートをかけた!

朝は8時くらいから稼働し、夜は20時くらいまで。

とにかく空いてる時間は全部サークル活動に費やした。



「由美、この間コピーお願いした資料はどう?」

『あぁ、パソコン横の赤いファイルにいれた!』

「ありがとう!」

今度は祥子が私に言う

『さぎり、この間のページの資料、参考文献表に入れた?』

「ごめん、まだだった!今からやる!」

ずっとこんな調子だった。

でも、今回は病んだりすることもなく、また唐突に詩乃に会いたくなって途中で帰ったりすることもなく(苦笑)残り少ない学生生活を、自分たちで始めたサークル活動に注いだ。

今思えば、この頃が1番楽しかったかも。

皆も私も元気だったし、就職活動を終えて気持ちにも余裕があったし。

サークル活動のことだけ考えて、集中していられた。

だから、本当に楽しかった!!





夏休みを終える頃、ついに最後の1ページが完成した。

それは、皆で考えた子供向けの歴史書。

文字はPCで打ったけど、絵は直接紙に描いて、それをスキャナーで取り込んだ。

ページによって絵の担当者が違うから、必然的にタッチも変わる。

でも、それが【手作り感】だって、皆で決めた。

写真は一切使わずに、絵と、字で表現した。

100ページ。

言葉で言ったり、実際に出来上がった本を見たら、大した量には見えない。

でも、完成までに辛いことも大変なことも沢山教えてくれた。

正真正銘、私達の本!!

「皆、ちょっと集まってくれる?」

私は、部室で誰にともなく話し掛けた。

皆私を中心に集まってくれた。

「皆、改めて、大変な作業お疲れ様でした。」

まず私はお礼を言って頭を下げた。

「私が言い出して始めたことなのに、私の方がだめになってしまったり、頼りないところも沢山見せてしまいました。」

「それでも、私から離れて行かずに、ずっと一緒に活動してくれて、私は本当に嬉しいです。」

泣かない。絶対に。

「皆がいてくれたから、完成できた本です。皆いなかったら、完成できなかった本です。」

最後の一言まで、頑張れ私!

「皆、最後まで一緒に活動してくれて、本当にっ…ありがとう、ございました!!!」

言い終えたら、涙が止まらなくなった。

皆泣いてた。

「由美ー!祥子ー!」

3人で抱き合って沢山泣いた。

『さぎり』

『さぎりー』

ありがとう、本当に本当に

二人のおかげだよ!!



その後は印刷と製本。これも皆最後までやりました。

来年以降、このサークル活動をどうするかも話し合った。

私は、後輩たちの意思に任せようと思ってた。

もしかしたら、この一冊で解散するって言うかもって思ったんだけど、

どうやら続けてくれるみたい!

まずは全3冊のセットにすることを目指して、さらに印刷と製本の方法も考えていくみたい。

頼もしい後輩を持って、私は本当に幸せだと思った。

後に、この活動が就職後の私に影響を与えることになるんだけど、それはまた別のお話。



夏休みも終盤に入ってしまっているけど、それでも私は図書館に向かった。

あらかじめピックアップした本を何冊か借りて、今日はゆっくり読み進めるつもり。

そう、サークル活動を終えたら今度は、創業論文が待っているから!




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