ゆっくり、話そうか。
先ほどの自分の姿を思い出し、穴があったら埋もれて地球の反対側まで行きたくなった。
それくらいにだらしなく、女を捨てた寝相だ。

「日下部くんはよかったら…」

「寝転ばないね」

「ですよね」

この地面に寝転んでだらけている日下部の姿は想像できない。
何故か頭に浮かぶのは、男性グラビアに出てくる寝そべりかたでカメラ目線の日下部。

うん、悪ぅ無い。
私ちょっと妄想するのうまくなってへん?

最近日下部のいろんな姿を想像する機会が増えたせいで、特殊なもの以外は容易に思い描けるようになっていた。
完全なる日下部ファン化に自分でも笑える。

「もたれたら?こっち」

目を瞑ったままで地面をタップされれば、恋心がおいでと言われている勘違いを発動する。
けれどせっかくの隣にいられるチャンスを逃したくなくて、お言葉に甘えさせてもらうことにした。

「あ、はぁ…ほんなら、お邪魔します」

肩がぶつからない程度、身じろぎしても腕一つ触れない中途半端な位置に座る。
足を伸ばして壁にもたれ、ひんやりしたコンクリートの気持ちよさにため息を吐いた。
目の前には自分の足と日下部の足。
長さが全然違っていて可笑しい。

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