ゆっくり、話そうか。
「ごごごごごめんっ、ごめんなさいっ、ほんっまにすいません!!申し訳ございません!」

やよいから血の気が失せ、変な汗がにじみ出る。

あかん、あかんあかんあかんあかんあかん、
とんでもないことしてしもうた。

その場で頭を下げ、コンクリートに額を押し付ける。

嘘、土下座?
なんと潔い。

だが、目の前のやよいを見て正直引いた。
たかだか頭をぶつけたくらいで大袈裟な。
しかし、今までのやよいの行動を見ていると頷けることはある。

「人様の体に、私っ、勝手に膝枕してもらった上にこんなっ、怪我させるやなんてっ、ほんまにごめんなさいっ、すいませんっ!」

ということだ。
本当に人に危害を加えてしまったことのみに、意識が集中している。
状況も把握してきているようで、日下部に膝枕をしてもらっていたところまで追い付いているらしい。
好きな相手だからとか、そんなことは毛頭頭に無いといった様子。

「いや、怪我してないし。頭上げようよ」

「許してくれんでもいいですからっ、どんなおとがめも受けます!限度はありますが!」

最後が笑える。
確かに限度はあるだろう事は日下部も納得だ。

「いいってほんとに」

やよいの肩をタップし、頭を上げさせた。

顔面蒼白とはまさにこの事か、初めて見た人の真っ青な顔に日下部は感動すら覚えた。
本当に血の気が引いていて、これ以上白くならないと思われた肌には青さが混ざっている。
さっきまでピンクに潤んでいた唇まで青ざめているように見えた。

「ほんまに?ほんまに大丈夫?おでこ見せて?怪我してない?たんこぶは?できてない?」

手を伸ばし、カタカタ震えながら日下部の髪を横に分けた。

園村さーん、
馬乗りになってるの君は気付いてますかー?
大胆なんですねぇ。

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