ゆっくり、話そうか。
ベタベタが気持ち悪と思っていた日下部はありがたく頂き、汗ばむよりしっとりしすぎた肌に乗せた。
撫でた場所だけひんやりして、そこに扇風機の風が当たるともっと温度が下がっていく。
心地よい香りがなかなか好印象。
遅れてやよいも汗を拭き取ると、気持ちよさそうに顔をふにゃふにゃにさせた。
それから紫外線対策の薄いカーデガンを羽織る。
そのとき緩やかな風が吹き、二人の間にある空気を舞い上げさせた。
清潔感溢れる香りが互いの鼻腔をくすぐり、今自分達は確かに同じ匂いをまとっているのだと気付く。
それが妙に居心地の悪さを感じさせ、妙に気恥ずかしかった。
「あ、そうや、この前鞄持ってきてくれたん日下部くんやんね。ありがとう」
「どういたしまして」
あの時、やよいが口にした本音が日下部に届いていたことは日下部しか知らない。
やよいの額にキスしたのも、知らない。
思い出したら変な汗が吹き出してきた。
“したかったから…”
以前やよいにキスをしたとき、開き直って発した自分本意な理由がまた脳裏に浮かぶ。
保健室での一件も、ただやよいにキスしたかった。
泣かせたこと、気持ちに応えられない自分のみっともなさ、それでも否定できない気付いてしまったやよいへの意識、そして全ての情。
それらが日下部のなかで交錯して、気付けばまたキスしていた。
自分の衝動に幻滅すると思いきや、信じられないことにやよいに気付かれればいいのにと願っていた。
やよいが目を覚ましたらどうなるかなど、先の事は考えることもなく。
目を覚ましていたらどうなってただろう。
また泣かせた?
それとも────
撫でた場所だけひんやりして、そこに扇風機の風が当たるともっと温度が下がっていく。
心地よい香りがなかなか好印象。
遅れてやよいも汗を拭き取ると、気持ちよさそうに顔をふにゃふにゃにさせた。
それから紫外線対策の薄いカーデガンを羽織る。
そのとき緩やかな風が吹き、二人の間にある空気を舞い上げさせた。
清潔感溢れる香りが互いの鼻腔をくすぐり、今自分達は確かに同じ匂いをまとっているのだと気付く。
それが妙に居心地の悪さを感じさせ、妙に気恥ずかしかった。
「あ、そうや、この前鞄持ってきてくれたん日下部くんやんね。ありがとう」
「どういたしまして」
あの時、やよいが口にした本音が日下部に届いていたことは日下部しか知らない。
やよいの額にキスしたのも、知らない。
思い出したら変な汗が吹き出してきた。
“したかったから…”
以前やよいにキスをしたとき、開き直って発した自分本意な理由がまた脳裏に浮かぶ。
保健室での一件も、ただやよいにキスしたかった。
泣かせたこと、気持ちに応えられない自分のみっともなさ、それでも否定できない気付いてしまったやよいへの意識、そして全ての情。
それらが日下部のなかで交錯して、気付けばまたキスしていた。
自分の衝動に幻滅すると思いきや、信じられないことにやよいに気付かれればいいのにと願っていた。
やよいが目を覚ましたらどうなるかなど、先の事は考えることもなく。
目を覚ましていたらどうなってただろう。
また泣かせた?
それとも────