ゆっくり、話そうか。
#9 許すこと
「なぁ、もう帰った方がよくね?」
あれから部屋に戻り、机に向かってすぐ尚太がそう提案した。
足の裏をデオドラントシートで拭いながら、やよいと万智が頷き合う。
「そうだね、日下部くんも気ぃ使うかもしれないし」
「そのほうがえぇかもね」
帰ろうと決めるより早く両手は荷物をまとめていて、何だか逃げるように急いでいる。
別に悪いことをして黙って帰るわけでも無いのに、日下部が戻ってくる前にという焦りが強い。
玄関での鉢合わせは免れないけれど、声をかけられる状況かどうかは分からない。
顔を会わせて、ごめんごめんと手を上げてこそこそ帰る、なんてことも考えられる。
一応、帰りますとお礼のメモを残すことにした。
部屋を出て、玄関の様子を窺うと二人はまだ外にいるようだ。
こそこそ、足音には充分気を付けつつ階段を降りる。
こそ泥の気分だ。
「さらっと、さらっと涼しげに」
「そうだね、お邪魔しましたぁ、また学校でねぇっ、でいこうか」
やよいと万智が帰り際のさりげなさをおさらいし、尚太もそれに頷いている。
両手でガッツポーズを作り、靴を履いて、もう一度三人で頷き合ってからドアを開けた。
するとドアのちょうど真ん前に日下部がいて、うっすら開いたドア越しによたつくのが見えた。
ぶつかる重みを感じたやよいが、予想外の出来事に慌ててもう一度ドアを閉める。
あれから部屋に戻り、机に向かってすぐ尚太がそう提案した。
足の裏をデオドラントシートで拭いながら、やよいと万智が頷き合う。
「そうだね、日下部くんも気ぃ使うかもしれないし」
「そのほうがえぇかもね」
帰ろうと決めるより早く両手は荷物をまとめていて、何だか逃げるように急いでいる。
別に悪いことをして黙って帰るわけでも無いのに、日下部が戻ってくる前にという焦りが強い。
玄関での鉢合わせは免れないけれど、声をかけられる状況かどうかは分からない。
顔を会わせて、ごめんごめんと手を上げてこそこそ帰る、なんてことも考えられる。
一応、帰りますとお礼のメモを残すことにした。
部屋を出て、玄関の様子を窺うと二人はまだ外にいるようだ。
こそこそ、足音には充分気を付けつつ階段を降りる。
こそ泥の気分だ。
「さらっと、さらっと涼しげに」
「そうだね、お邪魔しましたぁ、また学校でねぇっ、でいこうか」
やよいと万智が帰り際のさりげなさをおさらいし、尚太もそれに頷いている。
両手でガッツポーズを作り、靴を履いて、もう一度三人で頷き合ってからドアを開けた。
するとドアのちょうど真ん前に日下部がいて、うっすら開いたドア越しによたつくのが見えた。
ぶつかる重みを感じたやよいが、予想外の出来事に慌ててもう一度ドアを閉める。