ゆっくり、話そうか。

カレーもシチューも大して変わらない発言に対し、やよいの頭の中に大きなハテナが浮かんだ。
辛いのと辛くないのとでは話が違ってくる。
それを同じ分類にしている日下部氏の味覚に興味が湧いてきてしまっていた。

あかんっ、あかんあかんっ、もう興味もったらあかんやんっ。

なにか他のことを考えようと配られたプリントへ目をやり、頭に入ってこなさそうでしかない活字にかじりついた。
日取りや一日の予定、持ち物から始まって、現地で自分達がしなければならないことがびっしり書かれてある。
文字だけで見るとあまりうきうきしない内容なのは、こういうプリントならではじゃないだろうか。
順々に読み進めていき、堅苦しさが抜けた辺りで当初の目的が達成される文字が飛び込むと、一段紙に目を近づけた。

おやつは300円まで？やと？
ちょっと待て、高校生やぞ？
夜になったら小腹もすくんやぞ？
一泊やぞ？
やのに３００円？
え？パンなどは含まない。
あ、それやったらまぁ、朝までもつ、か？

お菓子大好き、食べること大好きなやよいにとっておやつは重要なポイント。
お菓子を食べながらの女子トークを楽しみにし、、食事の後のお菓子は格別のデザートだと思っているやよいにとって、三百円は非常にきつい。
パンが含まれていないことにほっとはしたものの、もう一つ気になることの回答がどこにも書かれていなかった。