ゆっくり、話そうか。
#4 衝動と気持ちと
あの後二人で戻ったら、案の定質問責めにされてしまった。
咄嗟にトイレと答えたら、それをきっかけにした尚太が「うんこコンビだな」と爆弾を投下した。
おかげで日下部と二人揃って“うんこコンビ”となってしまったが、変な噂でまた傷付く結果になるよりうんといい。
こんなバカみたいなネーミングもすぐに消えるだろう。
日下部に至っては不満たらたらのようだったが、どうせからかわれるならこの方が心臓にもよさそうである。
まぁ、日下部に呼びだれた尚太がげっそりして戻ってきたところから察するに、何かしらの雷を落として気が済んだのだろう。

どうして二人揃ってなのか、室内にいたのにびしょ濡れなのか、日下部のジャージを着ているのは何故なのか等々の質問攻めに対しても、日下部が顔色変えずに外に出たらたまたまやよいと遭遇し詰まった雨どいが崩壊してやよいに大部分がかかったからという嘘を、息を吐くように流してくれたお陰でそれ以上の追求はなかった。
その時の日下部の圧とこれ以上はなにも受け付けないという覇気のお陰が大きい。

万智からは鬼のように着信が入っていて、サイレントにしていたので電話に気付くことが出来なかったやよいは、かなり本気モードで叱られた。
尚太の余計な一言から始まった公開処刑がショックで、どうにかなったのかと心配したらしい。
なので万智にだけは何があったのかを説明し、心配するほどの傷にはなっていないことを伝えた。
もちろん、日下部とどんな話をしたかは内緒で。

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