ゆっくり、話そうか。
そんな状況で自分のために奮起してくれたことが嬉しくて嬉しくて、キャンプファイアの余韻かさっきまで日下部と視線を絡ませていた高揚からか、よく分からないが涙がここまでせり上げてきていた。
衝動を抑えきれず、華奢なくせにふくよかな胸元に飛び込んだ。

「ありがとううぅぅ、大事に取っとくからぁぁっ」

「いいんだよぉぉぉ、でもやってねぇ」

よしよーし、と頭を撫でられ、本気で泣きそうだった。

波乱だらけのキャンプ、一時はどうなることかと思ったがこのまま無事に終えられそうで、それもまた喜びに拍車がかかる。
昨夜はあまり寝ていないから体もほどよくを通り越して疲れているし、今夜はぐっすり眠れそうな気がした。


の、

だが、

「……うっそぉ、眠れへん」

入浴も済ませ、体も暖まって心地よくなり、ぐっすり眠れると思っていたのに。
やよいの目は今世紀最大と言っても過言ではないほどぎんぎんにギラついていた。

全くもって眠くないのだ。
というより、寝てしまっていたのだ。
キャンプファイアの後、入浴後の楽しい女子会の途中で記憶がなくなり、そこから目覚めたときは既に消灯時間が過ぎている闇だった。

寝不足に加え、思ったより心身ともにつかれていたやよいの体は、家主の意思などお構い無しに活動を停止させていたらしい。
記憶のすみには「おやすみぃ」という服数人の声が聞こえたような気がしないでもはい。
それだけ疲れきっていたのだろう。

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