敏腕パイロットは純真妻を溢れる独占愛で包囲する
「ん……」
足の甲に感じる柔らかな感触に、可奈子は吐息を噛み殺す。天蓋付きのベッドの中、力の入らない身体を大きな枕に預けている。
「可奈子。我慢しないで、声を聞かせて」
総司が可奈子の足に口づけながら、到底できそうにないことを言う。
「つっ……!」
可奈子は首を横に振って唇を閉じた。
新婚旅行、最後の夜である。
一週間ふたりが過ごしたのは、コバルトブルーの珊瑚礁の入江に突き出すように建てられた海上コテージ。ここでふたりはほとんどの日程をのんびりと過ごした。
波のない静かな入江は、シュノーケリングやちょっとしたマリンスポーツにぴったりで昼間は窓の外をリゾートホテル内の他の宿泊客が歓声をあげながら通りすぎることもあった。が、さすがにこの時間はちゃぷんちゃぷんと水の音が聞こえるのみである。
青白い月明かりに照らされた幻想的な夜の海の景色。でもそれを楽しむ余裕は、今の可奈子にはない。ベッドの上で、身体中に降り注ぐ総司からの愛撫を受けて甘い息を吐いている。
今彼は、可奈子の素足を宝物のように両手で包み王子様がお姫様の手に挨拶のキスをするかのような優雅な仕草で、口づけている。
「そ、総司さん、ダ……ダメ、あ、足なんて……」
そう言いながら、可奈子は力の入らない足を引こうする。だが総司の手にしっかりと掴まれていて叶わなかった。
「ん……あ……」
素肌に感じる総司のキスが、次第に長く濃厚になっていく。熱い舌先で触れられて食むようにされて、可奈子はまるで豹に仕留められた獲物になったような気分だった。彼の唇が新たなところに触れるたびに、可奈子の奥の切ない部分がキュッとなった。
不埒な彼の攻撃は卑猥な音を立てながら、ふくらはぎ、膝、太ももへと移動する。それを可奈子は直視することができなかった。
たまらずに目を閉じると、その甘やかな感覚はなお一層鮮明になり、可奈子の身体を燃え上がらせた。
呼吸するたびに恥ずかしい声が漏れ出てしまうのを止めることはもはや不可能だった。
「ん……あ、ダメ」
背筋はもう溶け切っていた。
そんな可奈子を上目遣いに見て、総司がさらに追い討ちをかける。
「可愛い、可奈子。愛してるよ」
「つっ……!」
まるで耳を直接愛撫されているかのような気分だった。
「愛してる。今夜は可奈子の隅々まで愛させて」
彼の口から紡がれる愛の言葉が媚薬となって可奈子の中に入り込み、もっと深く彼に愛されたいという欲求を目覚めさせようとしている。
もっと奥まで。
もっと強く。
「あ、総司さん、待って……!」
丁寧に愛おしむようなキスを繰り返しながら、彼がその場所へ近づいている。
それだけは絶対に許してはならないと、可奈子の理性が言うけれど、一方で早く来てほしいと願う自分がいるのも事実だった。
感じたい、彼に愛されていることを。
心と身体、指先から髪の毛の一本一本に至るまで、熱いものでいっぱいに満たしてほしかった。
息も絶え絶えになりながら薄く目を開くと、上目遣いにこちらを見つめる茶色い瞳と目が合った。
「ずっとこうしたかったんだ。……遠慮があったのは、俺の方も一緒かな。いきなり俺の欲求を全部ぶつけてしまったら可奈子を怖がらせてしまうから。でももう可奈子も少しは俺に言いたいことが言えるようになったことだし、俺の方も少しくらいはいいだろう?」
そんな言葉を口にして、彼は可奈子が身に着けている薄い布に手をかける。
「あ、ダ、ダメ……!」
「大丈夫だから。ほら、手をどけて。可奈子の全部を愛させて」
「んあっ………!」
可奈子の必至の懇願は、彼の手によっていともたやすくねじ伏せられた。
——そして、そのまま。
気が遠くなるほどに甘く翻弄され続けて、可奈子の思考はかすんでいく。
「可愛い可奈子。もっと鳴いて」
あれほど堪えていたというのに、可奈子は彼の望むままに困惑と快楽が入り混じった声をあげ続ける。
総司に愛される喜びに頭がいっぱいになっていく。そうしてなにもわからなくなった頃、彼は舌なめずりをして、可奈子の中に入ってきた。
「んんっ……!」
可奈子の身体が大きくしなり、真っ白なシーツが淫らな皺を作った。
「可奈子愛してる。ずっと好きだったんだ。絶対に手に入れると決めていた。なにがあっても離さないから」
耳元で囁かれる言葉の意味は、もはや可奈子には届かない。押し寄せる熱い波にただ身を任せるのみである。
遠くて手が届かない存在だったはずの彼と、心も身体も結びついた本当の夫婦になれた喜びが、可奈子の心に刻みこまれた。
足の甲に感じる柔らかな感触に、可奈子は吐息を噛み殺す。天蓋付きのベッドの中、力の入らない身体を大きな枕に預けている。
「可奈子。我慢しないで、声を聞かせて」
総司が可奈子の足に口づけながら、到底できそうにないことを言う。
「つっ……!」
可奈子は首を横に振って唇を閉じた。
新婚旅行、最後の夜である。
一週間ふたりが過ごしたのは、コバルトブルーの珊瑚礁の入江に突き出すように建てられた海上コテージ。ここでふたりはほとんどの日程をのんびりと過ごした。
波のない静かな入江は、シュノーケリングやちょっとしたマリンスポーツにぴったりで昼間は窓の外をリゾートホテル内の他の宿泊客が歓声をあげながら通りすぎることもあった。が、さすがにこの時間はちゃぷんちゃぷんと水の音が聞こえるのみである。
青白い月明かりに照らされた幻想的な夜の海の景色。でもそれを楽しむ余裕は、今の可奈子にはない。ベッドの上で、身体中に降り注ぐ総司からの愛撫を受けて甘い息を吐いている。
今彼は、可奈子の素足を宝物のように両手で包み王子様がお姫様の手に挨拶のキスをするかのような優雅な仕草で、口づけている。
「そ、総司さん、ダ……ダメ、あ、足なんて……」
そう言いながら、可奈子は力の入らない足を引こうする。だが総司の手にしっかりと掴まれていて叶わなかった。
「ん……あ……」
素肌に感じる総司のキスが、次第に長く濃厚になっていく。熱い舌先で触れられて食むようにされて、可奈子はまるで豹に仕留められた獲物になったような気分だった。彼の唇が新たなところに触れるたびに、可奈子の奥の切ない部分がキュッとなった。
不埒な彼の攻撃は卑猥な音を立てながら、ふくらはぎ、膝、太ももへと移動する。それを可奈子は直視することができなかった。
たまらずに目を閉じると、その甘やかな感覚はなお一層鮮明になり、可奈子の身体を燃え上がらせた。
呼吸するたびに恥ずかしい声が漏れ出てしまうのを止めることはもはや不可能だった。
「ん……あ、ダメ」
背筋はもう溶け切っていた。
そんな可奈子を上目遣いに見て、総司がさらに追い討ちをかける。
「可愛い、可奈子。愛してるよ」
「つっ……!」
まるで耳を直接愛撫されているかのような気分だった。
「愛してる。今夜は可奈子の隅々まで愛させて」
彼の口から紡がれる愛の言葉が媚薬となって可奈子の中に入り込み、もっと深く彼に愛されたいという欲求を目覚めさせようとしている。
もっと奥まで。
もっと強く。
「あ、総司さん、待って……!」
丁寧に愛おしむようなキスを繰り返しながら、彼がその場所へ近づいている。
それだけは絶対に許してはならないと、可奈子の理性が言うけれど、一方で早く来てほしいと願う自分がいるのも事実だった。
感じたい、彼に愛されていることを。
心と身体、指先から髪の毛の一本一本に至るまで、熱いものでいっぱいに満たしてほしかった。
息も絶え絶えになりながら薄く目を開くと、上目遣いにこちらを見つめる茶色い瞳と目が合った。
「ずっとこうしたかったんだ。……遠慮があったのは、俺の方も一緒かな。いきなり俺の欲求を全部ぶつけてしまったら可奈子を怖がらせてしまうから。でももう可奈子も少しは俺に言いたいことが言えるようになったことだし、俺の方も少しくらいはいいだろう?」
そんな言葉を口にして、彼は可奈子が身に着けている薄い布に手をかける。
「あ、ダ、ダメ……!」
「大丈夫だから。ほら、手をどけて。可奈子の全部を愛させて」
「んあっ………!」
可奈子の必至の懇願は、彼の手によっていともたやすくねじ伏せられた。
——そして、そのまま。
気が遠くなるほどに甘く翻弄され続けて、可奈子の思考はかすんでいく。
「可愛い可奈子。もっと鳴いて」
あれほど堪えていたというのに、可奈子は彼の望むままに困惑と快楽が入り混じった声をあげ続ける。
総司に愛される喜びに頭がいっぱいになっていく。そうしてなにもわからなくなった頃、彼は舌なめずりをして、可奈子の中に入ってきた。
「んんっ……!」
可奈子の身体が大きくしなり、真っ白なシーツが淫らな皺を作った。
「可奈子愛してる。ずっと好きだったんだ。絶対に手に入れると決めていた。なにがあっても離さないから」
耳元で囁かれる言葉の意味は、もはや可奈子には届かない。押し寄せる熱い波にただ身を任せるのみである。
遠くて手が届かない存在だったはずの彼と、心も身体も結びついた本当の夫婦になれた喜びが、可奈子の心に刻みこまれた。