夕立とアイスとこーちゃんと♡
「あっつい、よね……急に暑くなってきた気がしない?」
『いや、雨だし。そうでもなくね?』
「そっか…そうかもー!」
もう駄目だ。テンパってる…。
何かよく分かんないけど、あはは…と笑ってみたら、冷めた感じでスルーされた。ショック…。
おまけに、さらに悪いことに、小雨になったと思っていたそれは、予想外にも勢いを増してきた。
『マジで?こんなに降る?』
「誰よ…もうすぐ止むって言ったの」
『は…、誰も言ってねーよ』
「そろそろ帰ろう…って言ったじゃん!」
『俺かよ…』
はっきり言って八つ当たりのそれを取り合うことなく、『けど、これホントやばいね。どっか寄ってく?』なんて言いながら、傘を反対側の手に持ち替えると、私の肩をグイッと引き寄せる。
「ちょっ……こーちゃん…」
『中入れって。濡れんじゃん』
「………っ」
そんなこと、する人じゃなかったじゃん。何がどうなっちゃったのよ…。
近い……どころか、触れてる。触れ合ってる…。
肩に体温を感じて、ドキドキで収まらず、バクバク…いってる。
雨!お願いだから、早く止んで!!!
だけど…、こんなにお願いしているのに、全然、止む気配なんてない。
くそう…思いは通じない。
こんなの…、帰っちゃいけなかった。まだ教室にいるべきだった。
だって、この雨…、夕立どころか、まるでゲリラ豪雨。
雨宿りしたところで、足元から濡れてくる…。
『ねー、大音ちゃん、ここ入ろう?』
「……え、アイス?濡れたまま入るの?寒くない?」
『全然。余裕余裕』
私の反対意見もなんのその。
決定事項とばかりに、アイスの店舗の前で立ち止まった。