夕立とアイスとこーちゃんと♡
本気なの?どう考えても寒いよ。服が濡れているんだから…。
でも、そういえば、この男は真冬の寒空の下、外でバニラを食べていた記憶がある。
それに比べたら、余裕でありのレベルか…。
『あーあ…大音ちゃん、びしょびしょじゃん』
「こーちゃんの方が濡れてるよ?」
『そ?そうでもないよ』
そう言いながらも、頭をタオルでゴシゴシしているあたり、まあまあの濡れ度だと思う。
風邪ひかなきゃいいんだけど…。
勝手な先入観だけど、二人で一つの傘なんて、『俺が濡れるだろ。もうちょっと向こう行けよ』くらい言いそうで、私を優先して自分がずぶ濡れ……みたいなこと、地球が滅びてもするわけないと思ってた。
「こーちゃん、本当に彼氏なんだね…」
『………は?』
「や、なんでもない」
やっぱり間違いなのかもしれない。虫けらでも見るような目で見られたから。
そして、やっぱり私の反対は聞こえなかったかのように、当たり前な感じで、お店の中に入ると、
『大音ちゃん、先に座ってて。買ってくるから』
率先して、レジの方へ行ってしまう。
程なくして、アイスを持って戻ってくると、テーブルの上に置いて向かい側に座った。
「ありがとう」
『……ん』
不愛想な返事をして、なぜか私を正面から見るやいなや、動きを止めた。
そして、アイスも食べずに、鞄の中に手を突っ込んでごそごそ何かを探していると思えば…、
『俺のシャツ貸してあげる。上から着とけば?』
「なんでこんなのあるの?」
『ロッカーに置いてあったの一応持ってきた。朝から濡れた制服とか、げんなりすんじゃん』
「ふーん…。ねぇ、しわしわなんだけど…」
『お洒落お洒落』
「どこが?全然思わない…」