夕立とアイスとこーちゃんと♡
意味がわからないまま、見つめ返せば、それは突然だった。
頬に手が添えられると、強引に……奪われるように唇を掬い取られて―――――…
「は?え?何?」
『ん…、したくなった』
「ふーん、そっかーそうなんだー……とはならないよね!!」
『べつによくね?』
「や、待ってよ!見られる!!」
『誰もいないじゃん』
「かもしれないんだけど…」
体は熱いし、心臓は暴れすぎてて飛び出てきそうだし、パニックでしかない。何より唐突なんだって!!
なんなの?この前まで、近付いただけで照れていたくせに、本当にどうしちゃったのよ?
傘が傾いて、細い雨が降り込んでくる。
水分を含んだ髪が張り付いて、雨粒が頬を滴り落ちる。
それでも、絡み合うそれは止まる気配がなくて――――…
濡れた前髪の隙間から、切れ長の目が覗いて、それに吸い寄せられるように、応えるように、口づけ返してしまったことに一人で驚いた。
無意識だった…。
だけど、それでもいっか…なんて思う自分がいて…。
多分、それは……、目の前の男に夢中だからで。
端正な顔立ちが視界に映り込んで、ぎゅうっと胸が苦しくなる。
あーあ…もう…。
傘なんか、意味ないじゃん…。
じんわりと、甘く、とろけるような思考の中、そんなことだけを思った。
―― END ――