一夜限りと思ったワンコ系男子との正しい恋愛の始め方
「駅の向こう側なんで、タクシー使いましょうか」
「歩きでいいですよ。タクシー探す時間でたどり着けちゃう」
そうして手をきゅっと握られる。ここまでされて、受け身のままではいられなかった。指を絡めて手をつなぎ返す。
「行きましょう」
そう言って、歩き出した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ホテルの部屋に入りドアを閉めると、カチリ、とロックされる音が響いた。それが合図のように、健斗は先に部屋に入った美晴を背後から抱きしめる。
「美晴さん……」
うなじに口付けながら名前を呼ぶと、くすくすと笑われた。
「シャワー浴びてから。ね?」
そうなだめる声が甘く聞こえるのは気のせいでは無いのだろう。試しに彼女の耳たぶを軽く囓ると、「んっ」と小さくため息が漏れた。
別にシャワーなんか浴びなくても
そう言って押し倒したい気持ちはやまやまだが、初めて体を合わせる相手に無理強いはしたくない。その代わりとばかりに彼女の肩を軽く引いてこちらに向かせると、唇を重ねた。ぽってりと少し厚めの彼女の唇を、ここぞとばかりに堪能する。次第に開いていく唇から舌を入れると、すぐに絡み合った。
「ふっ……、ん……」
鼻に抜ける声。ピチャピチャと湿った音が互いの口内に響く。支えるつもりで健斗が美晴の背中に手を回すが、それは自然と下に降りて尻を掴んだ。男とは違う、柔らかい美晴の体。健斗の腰と美晴の腰が合わさって、お互いに押し付けあい、擦り合わさる。
「も……、待って」
すっかり力が抜け、健斗にしがみつくだけになった美晴がようやく唇を離し、ストップをかけた。人差し指を健斗の唇に置くと、ふわりと笑う。
「すぐ戻るから、待っていて」
そうしてゆっくりとバスルームに消えていった。
「やべぇ……」
扉が閉まるまで目で追ったあと、どさりとベッドに腰を掛け、健斗は自分の顔を手でおおう。耳まで真っ赤になっている自覚がある。股間が熱く己を主張していた。
コンビニ店内で眺めるだけだった憧れの人。食事をしたことで一気に距離が近付いたと思ったら、まさか二人きりだとこんなに妖艶になるとは思わなかった。
「ベッドの中では娼婦ってか」
言った途端、自分の言動が脂でギラついた親爺のようだと思い、慌てて頭を振る。
落ち着きなく待っていると、バスローブに身を包んだ美晴が戻ってきた。交代するようにバスルームに飛び込み、大慌てで汗を流す。腰にタオルを巻いた状態で戻ると、ベッドに腰掛けていた美晴の横に並ぶように座った。
「美晴さん……」
「はい」
「歩きでいいですよ。タクシー探す時間でたどり着けちゃう」
そうして手をきゅっと握られる。ここまでされて、受け身のままではいられなかった。指を絡めて手をつなぎ返す。
「行きましょう」
そう言って、歩き出した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ホテルの部屋に入りドアを閉めると、カチリ、とロックされる音が響いた。それが合図のように、健斗は先に部屋に入った美晴を背後から抱きしめる。
「美晴さん……」
うなじに口付けながら名前を呼ぶと、くすくすと笑われた。
「シャワー浴びてから。ね?」
そうなだめる声が甘く聞こえるのは気のせいでは無いのだろう。試しに彼女の耳たぶを軽く囓ると、「んっ」と小さくため息が漏れた。
別にシャワーなんか浴びなくても
そう言って押し倒したい気持ちはやまやまだが、初めて体を合わせる相手に無理強いはしたくない。その代わりとばかりに彼女の肩を軽く引いてこちらに向かせると、唇を重ねた。ぽってりと少し厚めの彼女の唇を、ここぞとばかりに堪能する。次第に開いていく唇から舌を入れると、すぐに絡み合った。
「ふっ……、ん……」
鼻に抜ける声。ピチャピチャと湿った音が互いの口内に響く。支えるつもりで健斗が美晴の背中に手を回すが、それは自然と下に降りて尻を掴んだ。男とは違う、柔らかい美晴の体。健斗の腰と美晴の腰が合わさって、お互いに押し付けあい、擦り合わさる。
「も……、待って」
すっかり力が抜け、健斗にしがみつくだけになった美晴がようやく唇を離し、ストップをかけた。人差し指を健斗の唇に置くと、ふわりと笑う。
「すぐ戻るから、待っていて」
そうしてゆっくりとバスルームに消えていった。
「やべぇ……」
扉が閉まるまで目で追ったあと、どさりとベッドに腰を掛け、健斗は自分の顔を手でおおう。耳まで真っ赤になっている自覚がある。股間が熱く己を主張していた。
コンビニ店内で眺めるだけだった憧れの人。食事をしたことで一気に距離が近付いたと思ったら、まさか二人きりだとこんなに妖艶になるとは思わなかった。
「ベッドの中では娼婦ってか」
言った途端、自分の言動が脂でギラついた親爺のようだと思い、慌てて頭を振る。
落ち着きなく待っていると、バスローブに身を包んだ美晴が戻ってきた。交代するようにバスルームに飛び込み、大慌てで汗を流す。腰にタオルを巻いた状態で戻ると、ベッドに腰掛けていた美晴の横に並ぶように座った。
「美晴さん……」
「はい」