一夜限りと思ったワンコ系男子との正しい恋愛の始め方
 弾力のある中に包まれて、奥へと引き込まれていく。探るように、解すように指を動かし、ざらりとしたところを撫で上げた。

「んっ」

 ビクンと腰が大きく震える。そんな反応の一つ一つが健斗の気持ちを高ぶらせてゆく。自分の体への刺激はなにもないのに、こうして美晴の快感を高めると自分も気持ちがよくなっていく。

 指を二本に増やし、トントンと美晴の中をノックする。喘ぎ声がより一層高くなり、つま先がピンと伸びてゆく。指を包む膣壁がさらに奥に誘い込むようにうごめいた。

「あ……、やっ……、」
「イキそう、美晴さん?」
「うん、あっ、あっ」

 美晴の腿が震えていき、次の瞬間、背筋が大きく反らされた。

「あーっ」

 吐き出す声と共に、美晴の体が弛緩する。ギュッとつむった目尻に涙の玉が浮かんでいた。余韻でビクつく美晴の体をふんわりと抱いて、健斗が涙をそっと吸い取る。眉を寄せたままの美晴がゆっくりと目を開くと、そのまま健斗を睨みつけた。

「私ばっかり、ズルい」
「え?」
「井草さんも、……気持ちよくなって」

 そう言うと健斗をぎゅっと抱きしめ返し、首元に顔を埋める。自分だけ気持ち良くなったと抗議するその思考はよく分からないが、互いに気持ちよくなりたいのだという心意気は伝わった。

「なんだよ、それ」

 可愛すぎるだろ。

 今まで美晴を気持ちよくさせることで保っていた健斗の理性が、みる間に吹き飛んで行ってしまう。

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