一夜限りと思ったワンコ系男子との正しい恋愛の始め方
 健斗はサイドボードに手を伸ばすと、新しい避妊具につけ直す。そして横たわる美晴の首筋に唇を寄せると今度は背中に舌を這わせ、腰を掴んだ。その拍子に、くちゅっという水音が彼女から聞こえる。

「美晴さん、もう一回」
「あん」

 手のひらで触れるだけで、美晴の肌が快楽を拾って反応する。そんな彼女を四つん這いの姿勢にし、後ろから挿入した。最初から遠慮のない動きに、美晴の尻がふるふると震える。彼女の口から嬌声が漏れた。

「んっ、 あっ、 あっ! いいっ、はああっ、いいっ!」

 二人して快楽に溺れる。さんざん愉しんで疲れ果てるまで行為に没頭して、最後は裸で抱き合ったまま、泥のように眠りに落ちた。



 ――そして翌日の朝。寝返りをうったときに自分一人なのに気が付き、健斗の意識が浮上した。

「え? 美晴、さん……?」

 寝起きで状況が理解出来ないまま部屋を見回すと、サイドボードになにかがおいてある。ライトをつけて見てみると、メモ紙だった。

『ごめんなさい。ありがとうございました』

 それだけが書かれており、その下に一万円札が二枚置かれていた。ホテル代だけではない、きっと昨日のレストラン代も合わせての、その金額。

「……なんだよ、これ」

 健斗は髪の毛に手を突っ込むと、低くつぶやいた。





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