一夜限りと思ったワンコ系男子との正しい恋愛の始め方
思い返すと己の愚行に頭を抱えたくなる。明け方に目が覚めて自分のやらかしたことを思い返し、恥ずかしさにのたうち回った。隣で寝ている健斗を起こさないようにそっと離れ、急いで身支度して先に帰った。いや、逃げ出した。とっさに割り勘のつもりでお金も置いていったが、冷静になって考えると、あれは人の好意を踏みにじるようで良くなかったかも知れない。いやでも分からない。
人の考えていることなんて、分かりようもない。
また五ヶ月ちょっと前に別れた男の顔が浮かびそうになったので、慌てて鯖の竜田揚げに箸をつけた。その場で食べるのではない、買って帰るのが前提のお店で作られた惣菜だけに、しっかりと下味をつけて中まで火が通って、最後はカラリと揚がっている。
美晴はご飯に集中しながら、そっとスマホのメールアプリを立ち上げた。犬が笑っているイラストのアイコンを開けて、日曜日に届いたメッセージを読み直す。
『水曜日に、コンビニで待っていてもらってもよいですか?』
その下に続く美晴の返信は、
『OK』
のスタンプのみ。文字や、感情の透けて視えるスタンプでは返事が出来なかった。なんと言い訳をすればよいのか、どんなスタンプで誤魔化せばいいのか分からなかったから。
「ほんと、酷い……」
スマホの画面を見つめ、ぽつりとつぶやいた。
◇◇◇◇◇
人の考えていることなんて、分かりようもない。
また五ヶ月ちょっと前に別れた男の顔が浮かびそうになったので、慌てて鯖の竜田揚げに箸をつけた。その場で食べるのではない、買って帰るのが前提のお店で作られた惣菜だけに、しっかりと下味をつけて中まで火が通って、最後はカラリと揚がっている。
美晴はご飯に集中しながら、そっとスマホのメールアプリを立ち上げた。犬が笑っているイラストのアイコンを開けて、日曜日に届いたメッセージを読み直す。
『水曜日に、コンビニで待っていてもらってもよいですか?』
その下に続く美晴の返信は、
『OK』
のスタンプのみ。文字や、感情の透けて視えるスタンプでは返事が出来なかった。なんと言い訳をすればよいのか、どんなスタンプで誤魔化せばいいのか分からなかったから。
「ほんと、酷い……」
スマホの画面を見つめ、ぽつりとつぶやいた。
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