一夜限りと思ったワンコ系男子との正しい恋愛の始め方
納得をして、デパートへと向かう。日曜日夕方のデパ地下はピークを迎え、大勢の買い物客で賑わっていた。
「なんか、すごいですね……」
人の熱気にあおられて、健斗が思わず尻込みをしてしまう。
「これは、下手するとはぐれちゃいそうだね」
「買うものは決まっている?」
「候補が二店舗あるんだけれど。どうしようかな」
つぶやきながら辺りを見渡すと、美晴は一点を指した。
「あそこの待ち合わせコーナーで、健斗はちょっと待ってくれるかな。二十分後に戻って来るから」
見ると、買い物に付き合わされた人たちがぐったりとした表情でソファーに腰掛けている。
「俺も行きますよ」
「一人で行った方がすぐに買えるから、大丈夫。買い物済ませたらお茶したいから、健斗は待っている間にお店探しておいて。分担作業ってことで」
「分かりました。念の為、候補の店教えて下さい。二十分経っても美晴さんが来なければ、俺が迎えに行きます」
そう打ち合わせして二手に分かれる。健斗は待ち合わせコーナーでスマホを立ち上げると、言われたとおりにカフェを検索した。候補の何店かの場所を確認すると、時計を見る。いつの間に二十分は経過したが、美晴の姿は見えない。
メッセージを送ったが既読にならないため、迎えに行くことにした。フロアマップを見ながら人混みを抜けて行くと、壁沿いの店舗の横で美晴が立っている。目の前の人物を見上げ、話している様子だった。
「美晴さん、」
中途半端に呼び掛けて、健斗は歩みを止めた。後ろから来た人がぶつかってきたので、慌てて謝りつつ脇へ退く。そしてその場所で美晴を見つめた。話している相手は、どうやら知り合いらしい。日曜日の繁華街のデパ地下だ。偶然出会うこともあるだろう。美晴は口角を上げ、微笑みを浮かべて相手と会話をしていた。
健斗は少し立っている場所をずらし、相手の姿を確認する。三十代前半の細身の男性。背は健斗より少し低いくらいなので百八十センチはあるだろう。端正な顔立ちが、いかにも仕事が出来そうな雰囲気をかもしている。そんな男がにこやかに微笑みながら、美晴を見つめていた。
「あれは……」
健斗の眉が寄って、表情が険しくなった。
「なんか、すごいですね……」
人の熱気にあおられて、健斗が思わず尻込みをしてしまう。
「これは、下手するとはぐれちゃいそうだね」
「買うものは決まっている?」
「候補が二店舗あるんだけれど。どうしようかな」
つぶやきながら辺りを見渡すと、美晴は一点を指した。
「あそこの待ち合わせコーナーで、健斗はちょっと待ってくれるかな。二十分後に戻って来るから」
見ると、買い物に付き合わされた人たちがぐったりとした表情でソファーに腰掛けている。
「俺も行きますよ」
「一人で行った方がすぐに買えるから、大丈夫。買い物済ませたらお茶したいから、健斗は待っている間にお店探しておいて。分担作業ってことで」
「分かりました。念の為、候補の店教えて下さい。二十分経っても美晴さんが来なければ、俺が迎えに行きます」
そう打ち合わせして二手に分かれる。健斗は待ち合わせコーナーでスマホを立ち上げると、言われたとおりにカフェを検索した。候補の何店かの場所を確認すると、時計を見る。いつの間に二十分は経過したが、美晴の姿は見えない。
メッセージを送ったが既読にならないため、迎えに行くことにした。フロアマップを見ながら人混みを抜けて行くと、壁沿いの店舗の横で美晴が立っている。目の前の人物を見上げ、話している様子だった。
「美晴さん、」
中途半端に呼び掛けて、健斗は歩みを止めた。後ろから来た人がぶつかってきたので、慌てて謝りつつ脇へ退く。そしてその場所で美晴を見つめた。話している相手は、どうやら知り合いらしい。日曜日の繁華街のデパ地下だ。偶然出会うこともあるだろう。美晴は口角を上げ、微笑みを浮かべて相手と会話をしていた。
健斗は少し立っている場所をずらし、相手の姿を確認する。三十代前半の細身の男性。背は健斗より少し低いくらいなので百八十センチはあるだろう。端正な顔立ちが、いかにも仕事が出来そうな雰囲気をかもしている。そんな男がにこやかに微笑みながら、美晴を見つめていた。
「あれは……」
健斗の眉が寄って、表情が険しくなった。