一夜限りと思ったワンコ系男子との正しい恋愛の始め方
「理恵ちゃんも十分美晴さんに懐いているんじゃない?」
「そりゃそうです。私は美晴さんっ子ですから。そしてなおかつ、一週間ぶりの美晴さんですよ! 本社に戻ってしまってどれだけ私が心細い思いをしているか」
「理恵ちゃんとは毎日電話で業務連絡しているでしょ」
美晴が言い返すが、その目は優しく後輩を眺めている。にこやかな表情は、理恵に負けず劣らず彼女も後輩を可愛がっていることが伺えた。
いや、俺は二週間ぶりだけど。
ついむっとして反射的に心の中でつぶやくと、健斗は慌てて二人から視線を逸らす。
デパ地下で美晴の元彼との再会直後、混乱に乗じて手をつなぐことが出来た。一夜の戯れからひと月ちょっと。少しずつ積み上げていった信頼関係で、ようやく直接触れることを許してもらえるようになったのだ。出来ればここからさらに距離を縮めて行きたいところだったが、ことごとくタイミングが合わずに、あれから二週間も会うことが出来なかった。そして今、ようやく美晴に会うことが出来たにも関わらず、なぜか余分なものがついている。
「女の子相手に嫉妬か、ケンケン?」
その言葉にビクリとして、陽平に視線を向ける。
「残念ですが、私も今日は美晴さんを離しませんよ」
なぜか理恵に高らかに宣言され、説明を求めるようにもう一度陽平に視線を向ける。陽平はそんな健斗を面白がるように、ニヤニヤと笑って見返していた。
そもそも今日のこの会は、陽平に美晴の後輩を紹介するという目的で開催されたのではないだろうか。そっち方面での働きを放棄して、なぜこの状態を彼が楽しんでいるのか、健斗には理解不能だ。
「理恵ちゃん、分かったからそろそろ歩きだそう」
「はーい」
美晴に声をかけられ、理恵がようやく腕を離す。そうして四人は公園へと向かった。
「そりゃそうです。私は美晴さんっ子ですから。そしてなおかつ、一週間ぶりの美晴さんですよ! 本社に戻ってしまってどれだけ私が心細い思いをしているか」
「理恵ちゃんとは毎日電話で業務連絡しているでしょ」
美晴が言い返すが、その目は優しく後輩を眺めている。にこやかな表情は、理恵に負けず劣らず彼女も後輩を可愛がっていることが伺えた。
いや、俺は二週間ぶりだけど。
ついむっとして反射的に心の中でつぶやくと、健斗は慌てて二人から視線を逸らす。
デパ地下で美晴の元彼との再会直後、混乱に乗じて手をつなぐことが出来た。一夜の戯れからひと月ちょっと。少しずつ積み上げていった信頼関係で、ようやく直接触れることを許してもらえるようになったのだ。出来ればここからさらに距離を縮めて行きたいところだったが、ことごとくタイミングが合わずに、あれから二週間も会うことが出来なかった。そして今、ようやく美晴に会うことが出来たにも関わらず、なぜか余分なものがついている。
「女の子相手に嫉妬か、ケンケン?」
その言葉にビクリとして、陽平に視線を向ける。
「残念ですが、私も今日は美晴さんを離しませんよ」
なぜか理恵に高らかに宣言され、説明を求めるようにもう一度陽平に視線を向ける。陽平はそんな健斗を面白がるように、ニヤニヤと笑って見返していた。
そもそも今日のこの会は、陽平に美晴の後輩を紹介するという目的で開催されたのではないだろうか。そっち方面での働きを放棄して、なぜこの状態を彼が楽しんでいるのか、健斗には理解不能だ。
「理恵ちゃん、分かったからそろそろ歩きだそう」
「はーい」
美晴に声をかけられ、理恵がようやく腕を離す。そうして四人は公園へと向かった。