一夜限りと思ったワンコ系男子との正しい恋愛の始め方
バーベキュー会場につくと、受付で予約を確認し、料金を払って場内に入る。健斗のイメージでは河原やキャンプ場に食材を持って集まり、設営地を作って火を起こすという流れだったが、バーベキュー会場というだけあって、そんな諸々は全て事前に準備がされていた。指定されたテーブルにはコンロや食材が綺麗に並べられている。飲み物は敷地の一角にあるドリンクコーナーに取りに行くシステムだ。
「本当に、手ぶらで大丈夫なんだな」
「手軽に楽しみたいからね」
「そういうもんか」
なにもかもお膳立てされてのバーベキューが果たして面白いのか、正直言うと健斗にはピンと来ない。普通に焼肉屋に行っても良かったのではないかと思うのだが、周りの客のはしゃぐ声や公園の向こうの湾岸の景色、青い空を見回して、その考えを改めた。屋外の開放感だけでも、確かに気分は盛り上がってくる。
「健斗、グリルの火起こし出来る? 出来なければスタッフ呼ぶけど」
陽平に聞かれ、あっさりとうなずいた。
「大丈夫。出来る」
小さい頃から地元の少年団に参加させられ、屋外キャンプはよくやった。テーブルの上に置かれた軍手をはめると火バサミを掴み、手際よく黒炭をコンロに立ててゆく。
「さすがケンケン。それじゃあこっちはお前と美晴さんに任せるわ。俺と理恵ちゃんで飲み物取ってくるから」
「えー、美晴さーん」
「俺とも仲良くなって、理恵ちゃん」
「陽平くん、ありがとう。理恵ちゃん、よろしくね」
「うーん。分かりました。飲み物、ビールでいいです? 四つ持ってきますね」
「え?」
思わず反射的に聞き返す、その声が健斗と美晴で重なった。
「それじゃ、よろしくー」
ひらひらと手を振って、陽平と理恵がドリンクコーナーへと歩いていく。二人の後ろ姿を見送ってから、残された健斗と美晴は顔を見合わせた。
「本当に、手ぶらで大丈夫なんだな」
「手軽に楽しみたいからね」
「そういうもんか」
なにもかもお膳立てされてのバーベキューが果たして面白いのか、正直言うと健斗にはピンと来ない。普通に焼肉屋に行っても良かったのではないかと思うのだが、周りの客のはしゃぐ声や公園の向こうの湾岸の景色、青い空を見回して、その考えを改めた。屋外の開放感だけでも、確かに気分は盛り上がってくる。
「健斗、グリルの火起こし出来る? 出来なければスタッフ呼ぶけど」
陽平に聞かれ、あっさりとうなずいた。
「大丈夫。出来る」
小さい頃から地元の少年団に参加させられ、屋外キャンプはよくやった。テーブルの上に置かれた軍手をはめると火バサミを掴み、手際よく黒炭をコンロに立ててゆく。
「さすがケンケン。それじゃあこっちはお前と美晴さんに任せるわ。俺と理恵ちゃんで飲み物取ってくるから」
「えー、美晴さーん」
「俺とも仲良くなって、理恵ちゃん」
「陽平くん、ありがとう。理恵ちゃん、よろしくね」
「うーん。分かりました。飲み物、ビールでいいです? 四つ持ってきますね」
「え?」
思わず反射的に聞き返す、その声が健斗と美晴で重なった。
「それじゃ、よろしくー」
ひらひらと手を振って、陽平と理恵がドリンクコーナーへと歩いていく。二人の後ろ姿を見送ってから、残された健斗と美晴は顔を見合わせた。