一夜限りと思ったワンコ系男子との正しい恋愛の始め方
その17. 土曜日の夜は
ゆらゆらと、水面に顔を出すような感覚で意識が浮上し、美晴は目を覚ました。まぶたを開けると薄ぼんやりとした明かりの中、見知らぬ天井が見える。照明は常夜灯のみ。それをただぼんやりと眺め、しばらくしてここは何処だろうと考える。
バーベキューの会場を後にし、駅に向かって歩いているうちに、頭が揺れる感覚がしてきた。それと同時に喉元まで胃液がせり上がってきて、慌ててトイレに駆け込んだ。その後のことは、断片的にしか覚えていない。理恵にペットボトルの水を強制的に飲ませられた気がする。もしかして、ここは理恵の家なのだろうか。
ゆっくりと上半身を起こす。自分の格好を見下ろすとバーベキュー時と同じTシャツとパンツ姿で、寝入っていたようだった。部屋を見渡すと、六畳の部屋にセミダブルベッド。これだけでスペースを取るせいか、あとはスチールパイプで組まれたパソコンデスクとラックというシンプルなレイアウトだった。どう見ても女性らしさは感じない。
そこまで美晴が考えたところで、そっと引き戸が開いた。逆光の中、大柄な男がこちらを覗き込む。
「健斗……」
「起きましたか」
引き戸の向こうはダイニングとキッチンなのだろう。健斗がいったん引っ込み、冷蔵庫の開く音がした後にグラスを手に部屋に入ってきた。
「水です」
「……ありがとう」
素直に受け取ってごくごくと飲む。酔った後、寝起きの干からびた身体に水が染み込んでいき、コップの水はあっという間に空になった。
「気分はどうです?」
「もう、大丈夫」
そういってうなずくが、健斗の方を向けずにコップを見つめる。
「また迷惑かけちゃった。ごめんなさい」
バーベキューの会場を後にし、駅に向かって歩いているうちに、頭が揺れる感覚がしてきた。それと同時に喉元まで胃液がせり上がってきて、慌ててトイレに駆け込んだ。その後のことは、断片的にしか覚えていない。理恵にペットボトルの水を強制的に飲ませられた気がする。もしかして、ここは理恵の家なのだろうか。
ゆっくりと上半身を起こす。自分の格好を見下ろすとバーベキュー時と同じTシャツとパンツ姿で、寝入っていたようだった。部屋を見渡すと、六畳の部屋にセミダブルベッド。これだけでスペースを取るせいか、あとはスチールパイプで組まれたパソコンデスクとラックというシンプルなレイアウトだった。どう見ても女性らしさは感じない。
そこまで美晴が考えたところで、そっと引き戸が開いた。逆光の中、大柄な男がこちらを覗き込む。
「健斗……」
「起きましたか」
引き戸の向こうはダイニングとキッチンなのだろう。健斗がいったん引っ込み、冷蔵庫の開く音がした後にグラスを手に部屋に入ってきた。
「水です」
「……ありがとう」
素直に受け取ってごくごくと飲む。酔った後、寝起きの干からびた身体に水が染み込んでいき、コップの水はあっという間に空になった。
「気分はどうです?」
「もう、大丈夫」
そういってうなずくが、健斗の方を向けずにコップを見つめる。
「また迷惑かけちゃった。ごめんなさい」