一夜限りと思ったワンコ系男子との正しい恋愛の始め方
レストランからの帰り道、躓いた美晴を受け止め、抱きしめた。理恵のときと違って離れたくなかったのは健斗の方だったが、そんな健斗に「いいです」と美晴はささやいてくれた。
「美晴さん、めちゃくちゃ可愛くてヤバかった。女の私がぐらっと来るようなヤバさなので、うっかり通りすがりの男にそんな顔とか仕草とか見せたら、即お持ち帰りされちゃう。あれはマズい」
分かる。健斗には、あのヤバさはよく分かる。それなのになぜ今回、酒を解禁してしまったのかと、心から後悔と反省をしている。
「焼酎のビンを二人で一本空けちゃう美晴さんが、今日は生ビール三杯でこの状態なんで、よっぽどお酒飲む身体になっていなかったんだと思う。私を陽平くんとケンケンの二人に紹介するっていうのも、余計に神経使ったと思うし」
いいながら美晴を見つめる理恵の顔に、健斗と同様の後悔が浮かんでいた。
「だからケンケン、美晴さんのことちゃんと介抱してあげてね。欲望に身を任せて突っ走っちゃ駄目よ」
「いやー、ケンケンはもうちょっと勢いつけても、そろそろ良いと思うけど」
「陽平くんは黙ってて」
ぴしゃりと言うと、理恵は健斗を見つめた。
「分かってる」
理恵の圧に負けないくらいの気持ちで返事をしたそのタイミングで、電車が駅に着いた。
「理恵ちゃん、ここで乗り換えだろ?」
「うん」
「じゃあケンケン、俺達先に降りるから、美晴さんのことよろしくな」
「おう」
慌ただしく挨拶をして、二人が去ってゆく。ドアが閉まり、電車が動き出す。かすかな揺れを感じながら、美晴に肩を貸したまま、健斗は車窓からの景色を眺めていた。
◇◇◇◇◇
「美晴さん、めちゃくちゃ可愛くてヤバかった。女の私がぐらっと来るようなヤバさなので、うっかり通りすがりの男にそんな顔とか仕草とか見せたら、即お持ち帰りされちゃう。あれはマズい」
分かる。健斗には、あのヤバさはよく分かる。それなのになぜ今回、酒を解禁してしまったのかと、心から後悔と反省をしている。
「焼酎のビンを二人で一本空けちゃう美晴さんが、今日は生ビール三杯でこの状態なんで、よっぽどお酒飲む身体になっていなかったんだと思う。私を陽平くんとケンケンの二人に紹介するっていうのも、余計に神経使ったと思うし」
いいながら美晴を見つめる理恵の顔に、健斗と同様の後悔が浮かんでいた。
「だからケンケン、美晴さんのことちゃんと介抱してあげてね。欲望に身を任せて突っ走っちゃ駄目よ」
「いやー、ケンケンはもうちょっと勢いつけても、そろそろ良いと思うけど」
「陽平くんは黙ってて」
ぴしゃりと言うと、理恵は健斗を見つめた。
「分かってる」
理恵の圧に負けないくらいの気持ちで返事をしたそのタイミングで、電車が駅に着いた。
「理恵ちゃん、ここで乗り換えだろ?」
「うん」
「じゃあケンケン、俺達先に降りるから、美晴さんのことよろしくな」
「おう」
慌ただしく挨拶をして、二人が去ってゆく。ドアが閉まり、電車が動き出す。かすかな揺れを感じながら、美晴に肩を貸したまま、健斗は車窓からの景色を眺めていた。
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