恋のナンバー507〜一尉、私のハートを墜とさないで〜

 一尉のスーパープレイで、隣のコートにいた中学生や、大学の二部リーグの選手までが私たちのコートに集まってきた。

「すごいですね、Bリーグの方ですか?」

 なんて訊いてくるけど、一尉が百里基地のパイロットであることは、秘密。
 一尉のことは、私の学校のOBということで萌音と口裏を合わせておいた。

 でもこのハプニングの中、「皆んなで一緒に練習しませんか?」と提案してくれる人がいて、私たちはありがたくその提案に乗っかることにした。

 集まってくれた人たちで、私たちは即席の3x3チームを5つ作った。そのチーム5つで、総当たりのテストマッチをした。

 もちろん勝ち負けが目的じゃないから、例えば一尉は、敢えてシュートを打たずに私と萌音にパスを出し続けてくれた。

 それでも一尉の実力は圧倒的で、リバウンドはほとんど一尉が拾ってしまうし、ディフェンスに立たれたら大学の選手が二人がかりでも、まるで抜けない。
 オフェンス側になれば、どこに目がついているんだと相手チームが嘆くくらいに、ノールックパスを連発した。

 私はそんな一尉と同じコートに立てることが、嬉しかった。 
 見かねた萌音が、こんな注意をしてくるくらいに。

「さくら、顔がにやけすぎ。一度鏡を見てきたら?」

 無理だよ萌音。だって一尉が、こんなにカッコいいなんて──。
  
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