恋のナンバー507〜一尉、私のハートを墜とさないで〜
決勝戦
一尉に告白した次の日、私は萌音と一緒にバスケ部の部室に行って、部に戻ることを認めてくれるように、皆んなの前で土下座した。
萌音の口添えもあって、部への復帰はすんなり認められたけど、
「しばらく球拾いだからね、さくら。いきなりレギュラーなんて甘い考え捨ててよね」
キャプテンマークをつける美樹は、そう冷たく言い放った。
萌音が心配そうに私のことを見たけど、私は平気だった。
それより、一尉が私に教えてくれた言葉を、私は心の中で繰り返していた。
『複数の敵味方の、意図と位置をリアルタイムにイメージできるか』
そのためには、却って球拾いは好都合だった。皆んなの動き、皆んなの考えを、じっくり見ることができるから。
そして、考えていた。
私が美樹や裕子とぶつかったのは、あの二人と私のプレイスタイルがうまく噛み合わないからだ。
ということは、美樹や裕子の組み立てがうまく通用しない相手には、私や萌音のプレイスタイルが上手くマッチするということになる。
コートに立つチャンスは、必ず訪れる。
それも、ゲームの決定的な場面で。
私はそう信じて、自分を研ぎ澄ましていった。