恋のナンバー507〜一尉、私のハートを墜とさないで〜
センターサークルで主審がボールをトスアップして、決勝戦が始まった。
バスケの試合はクォーター制で、全部で40分の試合時間を10分ごとに、4つに分けて戦う。
第1クォーターと第2クォーターの間には2分のインターバルがあって、それが終わると15分のハーフタイム。
そして第3クォーター、2分のインターバルを挟んで最終の第4クォーターで、勝負が決まる。
バスケの試合は展開が目まぐるしい。
ボールをキープできる時間が限られているからだ。
例えばボールを持った側は、8秒以内にボールを相手コートに持ち込まなければならないし、保持してから24 秒以内にシュートを打たなければならない。
つまり1分間の内に、最低でも2回以上攻守が入れ替わることになる。チームスポーツの中で、一番スピーディーな競技だと思う。
迷いや怯みは要らない。雑念が混じったプレイは必ずカットされる。
ただ無心にボールを操り、ゴールを目指すだけ。
私も萌音も、美樹も裕子も、そして桧山一尉も、バスケに打ち込んできた人は皆、28m×15 mの四角いコートの中でその一瞬に賭け、競ってきた。
そして私たちは今、地区大会の決勝戦を戦っている。
第1クォーター。
早くも相手が仕掛けてきた。
速攻主体で攻め上がって、そのままスキルに物を言わせてシュートに持ち込む。
こちら側のディフェンスが対応して点差は開かないけど、私には敵の意図が見えた。
こちらを走らせて、連戦で疲労が溜まっている美樹と裕子の動きを止める気だ。
第1クォーター終了、得点は24ー20。
私たちは4点ビハインドで第2クォーターを迎えた。