恋のナンバー507〜一尉、私のハートを墜とさないで〜
航空祭
祝日の晴れた朝、百里基地の門の前には、航空祭に向かう人の列ができていた。
「鹿田さくら、さん?」
門の横で、萌音と二人で待っていると、グレイの作業服に身を包んだ女性が声をかけてきた。
「永瀬小桃です。この基地で整備士をしています」
すらりとした、目元の涼しげな綺麗な人だった。年は、桧山さんより2つ3つ下だと思う。
私はお辞儀をすると、萌音を紹介した。
「友だちを連れて来ました」
「白川萌音です。よろしくお願いします」
改めてお辞儀をする萌音に、永瀬さんは、
「そんなかしこまらないで、楽しんで行ってね」
そして明るい笑顔で、
「さくらちゃんと萌音ちゃんね。私のことも、小桃でいいわ」
「なんか皆んな、ふんわりした名前ですね」
萌音の言葉で、三人とも笑顔になった。